【主張】PKO日報問題 稲田氏に国は守れるのか

 組織中枢の不祥事がいかに現場の士気に悪影響を与えるか。日本の守りを司(つかさど)る集団で起きている問題だ。トップに立つ稲田朋美防衛相の責任は、極めて重大である。

 南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の「日報」が、陸上自衛隊には残っていないと説明していたにもかかわらず、実は保管されていた。

 「実はあった」は、初めてではない。いったいどうなっているのか。ずさんな情報管理どころか、隠蔽(いんぺい)と言われても仕方ない。

 稲田氏は保管の事実を知らなかったとして「徹底的に調査する」と述べ、大臣直轄の防衛監察本部に特別防衛監察を命じた。誤りはもう許されないとの覚悟で、問題の所在を明らかにすべきだ。

 防衛省・自衛隊は日本最大の実力組織であり、政治のコントロール(文民統制)に服さなければならない。日報をめぐる事実が防衛相に知らされていなかったとすれば、当然、文民統制にかかわる問題となる。

 PKOを担当するのは統合幕僚監部だ。その幹部が陸自内の「日報」の存在を公表しないよう指示した疑いももたれている。広く聞き取りを進め、真相を解明してもらいたい。

 組織の責任者は稲田氏自身であることを、重ねて指摘しておきたい。防衛省・自衛隊をしっかりと掌握し、管理運営する能力が果たして十分なのか。稲田氏の国会での答弁ぶりにも、大きな疑問符が付けられている。

 その資質について、任命した安倍晋三首相が改めて見定めねばなるまい。防衛相のポストの意味合いは、ややもすると軽量級といわれた昭和期の防衛庁長官とは格段に異なるのだ。

 言うまでもなく、日本は北朝鮮の核・弾道ミサイルの脅威の増大に直面している。大規模な軍拡を進める中国は、隙あらば尖閣諸島を奪い取ろうとし、南シナ海では人工島の軍事化を進めている。

 日本の領域と国民、国益を守るため、自衛隊の役割と責任はますます大きくなっている。

 不祥事の有無にかかわらず、現場部隊の隊員らは命がけで任務を遂行する。

 度重なる失態は、大災害時の活動や国際貢献で勝ち得た自衛隊への信用まで損なう。国民の信頼を失うことが、どれだけ大きな損失かを責任者は認識すべきだ。

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