【甘口辛口】渡瀬恒彦さん「最高の仕事」のために健康に留意…最期の最期まで手抜きを嫌った人生だった

■3月19日

 昭和の名優が、また1人、旅立った。敗血症に伴う多臓器不全のため14日、72年の生涯を閉じた俳優、渡瀬恒彦さんである。ドラマ「十津川警部」シリーズで見せた男くささの中ににじみ出る温かい人情味は、小欄も忘れることができない。空手二段で、ケンカの強さは芸能界NO・1と噂され、確かに近寄りがたい雰囲気もあった。

 小欄も1度だけ取材したことがある。的外れな質問をしたせいか、無言でにらみつけられ、ビビッたのを懐かしく思い出す。実際、ドラマの撮影が夜遅くなったときなど、一生懸命なスタッフは愛称で呼び励ましたが、怠けるスタッフは容赦なく怒鳴り、頭をはたくこともあった。

 ただ、関係者の話によると「素顔はシャイで、仲間思い」「決して弱みを見せない。一昨年8月に胆のうがんで『余命1年』と告知されてからも、そんなそぶりは一切、見せなかった」という。友人の1人によると、渡瀬さんは20年ほど前、軽い脳梗塞を患った。その後遺症で少し左手が不自由だったことを知る人は少ない。 しかし、脳梗塞になってからが真骨頂だった。たばこをすっぱりとやめ、酒は適量なら血流にいいといわれる赤ワインだけに。何より歩くことを心がけ、東京・成城の自宅から八王子市内まで約3時間歩いたことも。連日のように1時間ほど歩き、趣味のカメラで道端の花などを撮影していた。

 健康に留意したのは「最高の仕事をしたい」という思いからだったと聞く。25歳のとき広告代理店から脱サラし、兄の俳優、渡哲也の背中を追って役者の世界に飛込んで48年。亡くなる前日までドラマの打ち合わせをこなした。最期の最期まで手抜きを嫌った人生に、献杯。 (森岡真一郎)

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