【iRONNA発】外国人労働者受け入れ リスク招く政府の場当たり的対応

 ■対策はAI化で

 そこで有効なのはAI(人工知能)だろう。ロボットの導入で余剰となった人材を、人手が足りない分野にシフトさせることができれば、供給制限で経済が停滞するという事態を回避できる。というよりも、全世界的にAIの普及が進む以上、これを積極的に活用していかなければ、相対的に高い成長を目指すことが難しくなっているのだ。日本も労働力不足という問題に対して、外国人労働者の受け入れではなく、AI化で対応するのが望ましい。

 ただ、これには問題もある。企業の現場にAIが普及すると、当然のことながら仕事の範囲が変わり、組織の人材を再配置する必要が出てくる。こうした動きは社内だけでは完結しないので、最終的には転職市場を通じた人材の流動化が必須となる。日本人はこうした人材の流動化に対する抵抗感が極めて大きく、これがAI化の進展を遅らせてしまう可能性があるのだ。

 労働力不足は、日本の国力低下に直結する、まさに「国益」に関するテーマであり、場当たり的な対応を続けることはもはや許容されないだろう。変化をかたくなに拒んだ結果、AI化が進まず、外国人労働者の数だけが増えるという事態になってはまさに本末転倒である。

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 【プロフィル】加谷珪一 かや・けいいち 経済評論家。昭和44年、仙台市生まれ。東北大工学部卒業後、日経BP社記者として入社。野村証券グループの投資ファンド運用会社を経て独立し、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。著書に『教養として身につけておきたい戦争と経済の本質』(総合法令出版)など。

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