【主張】東芝の決算再延期 背負う責任の重さ認識を

 日本を代表する名門企業とは思えない惨状である。米原発事業の巨額損失に揺れる東芝が、決算発表の再延期に追い込まれた。

 米原発子会社ウェスチングハウス(WH)の内部統制をめぐり、監査法人の承認が得られなかったためだという。東芝は不正会計事件でも決算の発表延期を繰り返してきた。上場会社として再び市場の信頼を裏切った責任は重大である。

 「特設注意市場銘柄」に指定され、管理体制の強化を進めていた最中に、経営を揺るがす損失が新たに発覚した。内部統制の改善が認められなければ、上場廃止の恐れもある。

 何にせよ、WHの経営実態を解明し、原発事業の損失額を確定する決算の発表、再建策の提示を急ぐほかない。それなくして再生への第一歩も記せない。

 東芝は先月、2016年4~12月期の決算発表について、「WHの上層部から部下に不適切な圧力があった疑いがある」として1カ月延期した。だが、監査法人が追加調査を求め、再び発表を来月に延期する失態を演じた。

 東芝は米原発事業で数千億円規模の損失を計上するが、工程遅れの原因などをいまだに解明できていない。WHを掌握していなかった証左だ。企業統治の欠陥は明らかだ。改革は急務である。

 今年度末で負債が資産を上回る債務超過に陥る見通しだ。そうなれば東証1部から2部に格下げとなる。投資家や市場の混乱を避けるため、経営再建の道筋などを丁寧に説明すべきだ。

 同社は原発や防衛関連など日本にとって重要な技術を保有している。東京電力福島第1原発の廃炉処理でも、東芝の原発技術は欠かせないものだ。課せられた責務の大きさを忘れてはならない。

 東芝の動向は、米国で原発を建設するWHの経営を左右する。それだけに、米政府も強い関心を抱く。訪米した世耕弘成経済産業相が米商務長官らと会談し、緊密な情報交換で合意した。日米間の連携をもっと進めるべきだ。

 同社は稼ぎ頭の半導体事業を分社化し、過半の株式を海外企業などに売却する。それで資金を確保できるとしても、海外への技術流出リスクが残る。政府系金融機関などが新会社に出資し、日本に一定の技術基盤が残る方法を探ることも求められよう。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ

    どう思う?

    「どう思う?」一覧