【産経抄】3種類のリスクの大きさ 3月21日

 米カリフォルニア大のエイムズ教授は、野菜に自然由来の発がん性物質が多く含まれている事実を示した。その教授が、サラダをもりもり食べている。制がん性のある物質や他の栄養素もあり、食べないわけにはいかない。

 ▼『環境リスク学』(日本評論社)の中に出てくるエピソードである。著者の中西準子さんの名前は、昨日の東京都議会百条委員会で、石原慎太郎元都知事の証言の中にも出てきた。野菜が安全か危険か、決めつけるのは難しい。環境問題はそんな目に見えないリスクに満ちている。リスク評価を専門とする中西さんによると、リスクには3種の大きさがある。

 ▼第1が科学的に得られたリスクの大きさ、第2が意思決定のリスクの大きさ、第3が国民の抱く不安としてのリスクの大きさだという。築地市場の豊洲への移転問題では、第1のリスクの大きさは、すでにはっきりしている。

 ▼豊洲市場の地下水から、環境基準の100倍のベンゼンが検出された。ただこの基準値が伝えるのは、人が2リットルの水を70年間飲み続け10万人に1人ががんになるという、ほんのわずかなリスクである。市場で地下水を利用することもない。専門家会議は、「科学的には安全」との評価を下した。

 ▼小池百合子都知事は、第3のリスクの大きさと向き合いながら、第2のリスクの大きさを選びとらなければならない。そろそろ移転について、判断を示す時期である。

 ▼豊洲に決まった経緯は、まったく別の問題だ。とりわけ78億円と858億円、元の所有者の東京ガスと東京都が土壌汚染対策に費やした金額の違いの理由を知りたい。もっとも、百条委員会の証人の話を聞いていると、「科学的」な解明から遠ざかるばかりのように思える。

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