【甘口辛口】稀勢の里に“精神的テーピング”の役割果たす「横綱土俵入り」

■5月19日

 横綱稀勢の里が、先場所で痛めた左上腕と左胸にテーピングを施している。「あれをすると痛みが消えるそうですよ」と後援者が場所前に話していた。調べると、テーピングには競技中の痛みを少しでも取り除く目的がある。けがの再発防止にもなり、イライラや不安を解消する面もあるという。

 テーピングに加えて、第72代横綱が土俵に立つ原動力となっているものがある、と先の後援者から聞いた。それは横綱土俵入り。「稀勢の里が言っていました。『土俵入りの最中、おなかの中心に魂がとどまる感じがするんです』って」。

 それを聞いて「丹田」という言葉を思い出した。広辞苑によると「下腹部の、臍(へそ)の下にあたるところ。ここに力を入れると健康と勇気を得るといわれる」。他の辞書には「気力が集まるとされる所」とある。

 「土俵入りは(本場所で)相撲を2番取るのと同じくらい疲れる」と昭和の大横綱大鵬は話したそうだが、稀勢の里にとっては“精神的テーピング”の役割を果たしているようだ。土俵入りによって丹田に魂(健康と勇気と気力)が宿っていたから、先場所はけがを乗り越えて連覇できたのだろう。

 そうはいっても、今場所は序盤で2敗を喫したように本来の相撲ではない。負傷を抱えて15日間を戦うことで、患部が悪化しないか心配だ。テーピング&土俵入りの効果が出ないほど悪化したら「休場しても番付が下がらない」という横綱の特権を使い、けがの回復に努めてほしい。途中で休んでも誰も責めない。長く相撲を取り続けることも横綱の務めだろう。ファンは、けがで力を発揮できない横綱より、元気な姿で土俵に上がる横綱を見たいはずだ。 (鈴木学)

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