【産経抄】5月20日

 10年以上前、小泉純一郎内閣の頃に官邸関係者から聞いた話である。小泉氏が昼寝中の執務室に、省庁幹部が「報告がある」と1人で駆け込み、すぐに出てきて「首相の承認をもらった」と言い帰っていく場面が度々あったという。権力者という虎の威を借りて、都合のいい政策を推進するわけだ。

 ▼古今東西、権力者や権威者の名前を自身の権勢拡大や、正当化に利用する者は後を絶たない。首相やその夫人の名前を使って寄付金を募った学校法人もあれば、憲法学者の主張を錦の御旗として政権攻撃を図る新聞もある。

 ▼「官僚による究極の忖度(そんたく)があったと疑わざるを得ない。内閣総辞職に値する」。民進党の蓮舫代表は18日、学校法人「加計(かけ)学園」の大学獣医学部新設をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理の意向」などを伝えたとする記録文書についてこう強調した。

 ▼文科省を説得して規制を突破したかった内閣府による名前利用なのか、文科省による忖度なのか、そもそも「怪文書」(菅義偉官房長官)なのかは判然としない。仮に蓮舫氏の指摘通り忖度だったとして、忖度されたら責任を取れという理屈は理解できない。

 ▼事の発端は、朝日新聞の17日付朝刊1面トップ記事「新学部『総理の意向』」である。「民主主義国家の当たり前の原則が掘り崩されているのではないか」。同紙は18日付社説ではこう大仰に訴えていた。

 ▼「気味が悪いの一言に尽きる。安倍政権にダメージを与えるためには、何の犯罪性もないことを様々(さまざま)な手段を駆使して『世の中が許せないこと』に仕立て上げる」。漫画家の須賀原洋行氏は、ツイッターでこうつぶやいた。そういえば朝日はかつて、北朝鮮に忖度して拉致被害者を「行方不明者」と呼んでいた。

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