【主張】英保守党敗北 「安定」への歩み止めるな

 英国の総選挙は、メイ首相が自らの政治基盤を固めようと打って出たものの、与党保守党が下院の単独過半数を割り込む結果に終わった。

 敗戦後、メイ氏は「この国には安定が必要だ」と語り、政権運営に地域政党の協力を仰ぐなどの対応に追われている。

 英国は欧州連合(EU)離脱という困難な道のりに踏み出している。加えて、相次ぐ国内テロとの戦いの途上にある。選挙後も変わらぬ状況である。

 先進7カ国(G7)の一員で、国連安全保障理事会の常任理事国でもある。躍進した労働党も併せ、責任ある国の地位を保つという国益を見失うことがあってはなるまい。そのための安定こそ不可欠なものである。

 昨年6月の国民投票で、EUからの離脱を選択したことは、国際社会にも衝撃を与えた。政権に就いたメイ氏は、EU単一市場からも脱退する強硬離脱を掲げた。

 選挙戦では、社会保障政策でつまずいたため保守党への支持は低下し、メイ氏の指導者としての資質も問題視されはじめた。

 EU離脱をめぐる議論が十分、深まることがないまま、国民の厳しい政権批判が示された格好といえよう。

 選挙戦中、中部マンチェスターとロンドンでテロが相次いだ。テロ対策の「先進国」でのテロ頻発も、政権への信頼を損ねるものとなった可能性がある。

 英国の安定は、日本をはじめ自由と民主主義、法の支配といった普遍的価値観を共有する国々にとっても重要である。

 多数の日本企業が欧州の拠点として英国に進出している。政治的混乱が、進出企業に不利益をもたらす事態は避けてほしいし、それは国の信頼を損なう。

 労働党のコービン党首は、党内左派に属し、大学無償化や鉄道などの再国有化を掲げて支持を広げた。メイ首相の辞任を求めており、新政権にも厳しい姿勢で臨むだろう。

 強硬離脱論の修正、テロ対策の強化をどのように進めるかについて、建設的な議論を求めたい。

 隣国フランスでは、EU統合強化を掲げるマクロン新大統領の新党が総選挙で圧勝する勢いだ。

 異なる道を歩んでいるにせよ、主要国として世界に共に責任を負っていくことが重要である。日本も役割を模索すべきだ。

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