【主張】文科省の内部文書 不信を払拭する再調査に

 国家戦略特区制度を活用した学校法人「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、文部科学省が内部文書の存否の再調査に乗り出している。

 これまで拒んできた頑(かたく)なな姿勢を一変させたのは、世論の厳しい批判を受けたためである。方針を転換したからには、疑念を残さぬよう、徹底した調査を行ってもらいたい。

 文科省と、特区を担当する内閣府とのやりとりを記録したとされる内部文書には、獣医学部新設について「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向」などの記載があった。前川喜平前事務次官は記者会見で「文書は確実に存在した」と証言している。

 だが、文科省は5月に「確認できなかった」とする調査結果を発表し、再調査を拒否してきた。菅義偉官房長官に至っては、文科省調査の前から「怪文書みたいな文書」と切り捨てていた。

 木で鼻をくくったような一連の言動が、政府への疑念をかえって深めた面が大きい。

 松野博一文科相は「追加調査の必要があるとの国民の声が多く寄せられた」と語った。まずは、問題を軽視した判断の悪さを厳しく反省すべきである。

 再調査での聞き取り対象は、前回調査した7人に加え、文書を共有したとみられるメールに名前があった職員20人前後に及ぶ。職員個人のパソコンも、任意で確認するという。

 ただ、内閣府が再調査の必要性を頑強に否定していることには首をかしげる。文科省の再調査で、都合の悪い点が出るはずはないと見切っているのだろうか。

 再調査結果を小出しにするのではないか、との観測もある。国会会期末を控え、中途半端な結果でやりすごそうとする姿勢がみられれば、かえって国民の不信は募るだろう。文書やメールの詳細、それらが表面化した経緯などを明確にしてほしい。

 そもそも、国家戦略特区は安倍晋三政権が掲げる成長戦略の柱の一つである。政治主導で「岩盤規制」を打ち破るため、抵抗する省庁との間で摩擦が生じるのは当たり前だ。

 政府側が獣医学部の新設を認めた手続きに瑕疵(かし)はなかったというなら、事実を踏まえて堂々と訴えればいい。内部文書の真贋(しんがん)論争という泥仕合から、一刻も早く脱すべきである。

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