【甘口辛口】上野動物園で誕生した赤ちゃんパンダの所有権は中国に…苦労重ねて繁殖成功させてそれでは釈然としない

■6月14日

 「ネタがなければ動物園へ行け」と昔の新米社会部記者は先輩から教わったという。動物の「赤ちゃん誕生」や「長寿記録更新」といった心温まるニュースが転がっているからだ。上野動物園では12日、ジャイアントパンダの雌シンシン(11歳)が待望の赤ちゃんを出産した。究極の動物ネタで記者の上野通いが続くだろう。

 何を隠そう小欄も1972年10月28日に初来日したパンダのカンカン、ランラン取材で、しばらく上野に通ったものだ。11月5日の初公開にはパンダ見物だけで約2万人が入園。これぞ“客寄せパンダ”と舌を巻いた小紙“初代パンダ担当”として赤ちゃん誕生はうれしい限りだ。

 シンシンが赤ちゃんを口にくわえる映像にはヒヤリとしたが、体を温めるためとか。最初の赤ちゃんは生後6日で死んだが、2回目の出産で子育てもうまくなっているらしい。赤ちゃんも足をバタバタさせるなど元気で母子ともに健康という。出産に向け飼育管理を徹底してきた飼育員の苦労は並大抵ではなかったろう。

 一部報道では赤ちゃん誕生による経済効果の試算結果は入園料、関連グッズ購入費、飲食・宿泊費などを合わせ年間約267億4736万円に上るというから恐れ入る。とはいえ、いい話ばかりではない。2頭のパンダは中国からのレンタルで生まれた子の所有権は中国にあり、2年後をめどに返還されるという。

 半年後に一般公開しても1年半でお別れ…。苦労に苦労を重ね、繁殖を成功させてそうなるとしたら釈然としない。生まれたばかりでも先を思うと辛くなる。中国にはレンタル料で年間約1億円ほど払っているといわれるが、金で済むならずっと日本にいてもらいたい。 (今村忠)

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