【主張】文政権と北朝鮮 「対話」への傾斜は危うい

 就任から1カ月を経た韓国の文在寅大統領だが、懸念されていた「親北路線」は基本的に変わらない。のみならず、今は北朝鮮への圧力を強める局面であることへの認識の薄さを危惧する。

 安倍晋三首相の特使として訪韓した自民党の二階俊博幹事長に対し、文氏は日米韓による連携強化の重要性は認めた。だが、「制裁だけでは問題は終わらない」と対話を模索する姿勢を隠そうともしなかった。

 先進7カ国(G7)首脳の共同宣言は、北朝鮮の脅威を「新たな段階」だと位置づけ、マティス米国防長官は「最も喫緊かつ危険な脅威」と議会証言した。そうした認識こそ、今の文政権に必要なものではないか。

 文政権の発足直後から、北朝鮮は4週連続でミサイルを発射した。うち3回は、国連安全保障理事会決議が禁じた弾道ミサイルだった。それが現実である。

 仮に、北朝鮮との対話を模索するとしても、核・ミサイル開発の放棄を前提として求めるのが当然である。文氏にとって、その前提も相いれないものなのか。

 日米首脳は、「対話より圧力」の対応が現状で必要だと一致している。安保理は新たな対北制裁決議を採択したばかりだ。

 この段階で、日米韓が連携を強化するというなら、強力な北朝鮮包囲網を構築し、制裁の厳格な履行や軍事、外交圧力を主導する以外にないはずだ。

 文氏は途切れていた人道支援目的の民間団体の対北交流を認め始めた。南北経済協力に意欲的で、サッカー・ワールドカップ(W杯)を日中韓と北朝鮮で共催する案も披瀝(ひれき)したという。

 こうしたメッセージの発信は、孤立した金正恩政権に利用され、日米韓の連携にほころびを生じさせかねない。

 看過できないのは、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国での本格運用の先延ばしを、文政権が図ろうとしていることである。

 背後には、配備に強く反発する中国の影がすけて見える。これもまた日米韓の結束を乱す。

 日韓両国は7月初め、ドイツでの20カ国・地域(G20)会合に際し首脳会談を予定している。今月末は米国で米韓首脳会談が行われる。対北連携を首脳同士が完全にすり合わせる機会とすべきだ。

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