【主張】「加計問題」調査 不信招く対応を断ち切れ

 問題を整理すべきである。政府の国家戦略特区を活用した加計学園(岡山市)の獣医学部新設計画をめぐって紛糾が続いている。

 焦点は学部の新設についての安倍晋三首相の指示の有無となっている。安倍首相は「個別具体的に指示したことはない」と明言した。

 内閣府も「総理のご意向」などの発言をした職員はいないとの調査結果を発表した。一方で文部科学省は「ご意向」などの発言を伝える記録文書を確認したと発表している。

 批判する側は「忖度(そんたく)」を問題とするが、これは証明することが困難で水掛け論に終始し、その先に法的な瑕疵(かし)があるわけでもない。問題を混迷させた責任は説明を二転三転させた政府側にもある。

 文科省の文書は当初、怪文書扱いをされたが、再調査の結果、存在が明らかになった。これを受けて調査は不要だとしてきた内閣府も、一転して調査結果の公表に乗り出した。政権の統治能力を問われるできごとである。

 後手後手、小出しの発表は、何か後ろ暗いところがあるためかと勘ぐられても仕方がなかった。

 安倍首相も16日、「対応に批判があることについて真摯(しんし)に受け止めたい」と述べ、「調査に時間がかかったことを率直に反省したい」と語った。

 獣医学部の新設は、岩盤規制を打ち破り、地域の活性化につなげることを目指したものであるはずだ。政府として推進するのは当たり前で、その経緯をよく説明できないというのは、おかしい。

 規制緩和は事後チェックとのセットで行われなければならない。そのために必要なのは、徹底的な情報公開である。この原則を軽視したことが事態を混乱させたと認識すべきである。

 野党側は、前川喜平前文科事務次官の国会招致を求めており、前川氏も応じる意向を示している。呼んだらいいではないか。

 ただしその際には事務方のトップにいた職責をかんがみ、「行政がゆがめられた」などの重大証言を、あいまいな感想として述べるわけにはいくまい。相応の証拠とともに語られるべきである。

 安倍首相はまた「法律にのっとった意思決定だったことに一点の曇りもない」と述べている。そうであれば内閣を挙げ、堂々と不信を振り払うべきだろう。

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