【主張】ゼロックス不正 海外でも統治を徹底せよ

 日本企業の海外子会社をめぐる不正会計がまた発覚した。富士フイルムホールディングス傘下の富士ゼロックスが、ニュージーランドなどの現地法人で売り上げを過大計上した問題である。

 とくに今回は、富士ゼロックス首脳らが隠蔽(いんぺい)を指示し、組織ぐるみで不正に手を染めていただけに、問題の根は深い。

 グループ会社に対する企業統治が機能しなかった富士フイルムの管理体制も甘すぎた。抜本的な統治改革に取り組まなければ、失われた信頼は回復しないだろう。

 人口減少で国内市場の伸びが期待しにくくなるなか、成長を求める日本企業の海外進出が加速している。だが、海外での企業統治が不完全なままでは、東芝のように本体の経営も危うくする事態を招きかねない。

 富士フイルムの第三者委員会の調査では、富士ゼロックスのニュージーランドと豪州の販売子会社が売り上げを過大に見積もり、累計で375億円の損失が出た。背景には、売り上げ至上主義の社風や報酬制度があったという。

 見過ごせないのは、富士ゼロックスの副社長が2年前に不正会計の存在を知りながら、これを部下に隠蔽するよう、直接指示していたことである。富士ゼロックスの会長や副社長ら5人が事実上解任されたのは当然だ。

 富士フイルムは、富士ゼロックスの75%の株式を持つ親会社である。だが、連結売上高の半分近くを占める富士ゼロックスへの遠慮があるからか、その経営には深く関与してこなかったという。

 これは、経営の自主性を尊重していたというよりも、グループ管理という経営責任を放棄していたに等しい。

 沖電気工業やリクシルなどでも海外子会社にからんだ不正会計が相次いで発覚した。海外事業での企業統治の確立は、グローバル化を急ピッチで進めるわが国産業界に共通した課題といえる。

 日本企業による海外企業のM&A(企業の合併・買収)は昨年、600件を上回って過去最多を記録した。海外市場の成長をいち早く取り込む狙いがあるが、東芝や日本郵政では海外企業の大型買収で大きな損失を発生させた。

 目が届きにくい海外企業に対しても、実効的な企業統治を徹底する。それが海外事業を成功させる道につながると考えるべきだ。

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