【産経抄】サンマは中国にかぎるでは、洒落にもならない 7月13日

 「秋刀魚とごぼうの梅煮」「秋刀魚の南蛮焼き」「秋刀魚の蒲焼き」。『天皇陛下料理番の和のレシピ』(幻冬舎)で見つけた、食欲を誘われる料理の数々である。

 ▼著者の谷部金次郎さんは、「天皇家の台所」に26年間奉職した。谷部さんによると、昭和天皇が普段召し上がっていたのは、一般的な家庭の食卓に並ぶものと同じだった。サンマやイワシも好まれていた。

 ▼今年も北海道東部沖でそのサンマの漁が始まり、11日朝、東京・築地市場に初入荷した。一昨年、昨年と、例年の半分ほどの水揚げしかない不漁が続いた。びっくりするような高値がつき、気軽に塩焼きを楽しむわけにはいかなかった。それに比べれば、手頃な値段で提供できそうだ、と市場関係者の表情は明るい。

 ▼ただ、楽観はできない。北太平洋の公海で、台湾や中国が、日本とは桁違いの大型漁船でサンマを取りまくっているからだ。今日から札幌で開かれる国際会議で、日本政府は北太平洋でのサンマ漁について、国・地域ごとに漁獲の上限枠を設けることを提案する。

 ▼中国は規制には反対しているらしい。仮に何らかの合意ができたとしても、中国が約束を守る保証はない。中国は昨年、北太平洋でのサバの水揚げ量について14・3万トンと報告している。実際はその2倍を超えている可能性が高いという。

 ▼サンマは江戸時代、「下魚(げうお)」とされていた。落語の「目黒のさんま」では、殿様が初めてその美味を知り感激する。中国の「爆漁」によって、今後資源が枯渇すれば、逆に超のつく「高級魚」になってしまうかもしれない。日本ではもはや手に入らず、中国に渡ってようやく味わえる。「さんまは中国にかぎる」がオチでは、洒落(しゃれ)にもならない。

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