【主張】加計問題 不毛な論争にけりつけよ

 いいかげんに、この不毛な論争にケリをつけるときではないか。それには政府側に一定の「けじめ」が必要である。

 衆参両院の閉会中審査で論じられた「加計問題」の質疑は案の定、平行線に終わった。

 「官邸の関与」を主張する前川喜平前文部科学事務次官の言い分は印象論の域を出ず、政府側の証言にも「記憶にない」など説得力を欠くものが目立った。

 問題は、政府の国家戦略特区を活用した「加計学園」の獣医学部新設計画の認可が、安倍晋三首相の意向、または忖度(そんたく)によってゆがめられたか否かである。

 だが、忖度は受け止めた側の印象で、これを証明するのは困難を極める。一方、獣医学部の新設が岩盤規制を打ち破って地域の活性化につなげるものだとすれば、政府として推進するのは当然だ。

 それ自体が法的に不正なものではないし、百万遍議論を重ねても水掛け論に終始する。

 閉会中審査で唯一、はっきりしたのは、問題の背景である。参考人の加戸守行前愛媛県知事は、以下のように述べた。

 「我慢させられてきた岩盤規制に、ドリルで穴を開けていただいた。『ゆがめられた行政が正された』というのが正しい発言ではないか」

 「東京の有力な私学に声をかけたが、けんもほろろだった。愛媛県にとっては、12年間、加計ありきだった」

 そうした経緯こそ、政府側ははなから明確に語るべきだった。

 そもそも、愛媛県に獣医学部が新設されて迷惑を被る人がいるだろうか。既得権益が損なわれることを恐れる獣医師会か、省益を狭められる文科省か。国民の利害とはかけ離れた話である。

 ただし、国民の怒りの矛先がそこに向いていないのも確かだ。昨今の企業不祥事で、消費者らが敏感に反応し嫌悪するのは、事件性や影響の大きさ以上に、隠蔽(いんぺい)や強弁、つじつまが合わない説明など対応の不備についてである。

 「ない」はずの文書が後で出てくる。「不要」と突っぱねた調査に乗り出す。国民のいらだちは東京都議選の結果に表れた。

 他にも課題は山積している。区切りをつけるには、戦略特区の意義を改めて語り、併せて対応の不備をわびてはどうか。むろん先頭に立つべきは安倍首相だ。

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