【主張】TOC条約締結 国際連携でテロと対峙を

 ようやくこれで、日本もテロや組織犯罪と対峙(たいじ)する国際連携の環(わ)に加わることができる。

 テロ等準備罪を新設した改正組織犯罪処罰法が施行され、国連の採択による国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を締結した。8月10日に条約の効力が生じる。

 国連加盟国・地域で188番目の締結国となる。先進7カ国では、日本だけが取り残されていた。ここまで締結が遅れたのは、条約の批准条件に、国内法で共謀罪などを整備することが求められていたからだ。

 共謀罪は過去に3度、廃案に追い込まれており、同罪の構成要件を厳格化したテロ等準備罪の成立で、遅まきながら締結への条件を満たすことができた。

 これにより、日本は締結国との捜査共助を進めることができ、テロなど事前情報の共有の面でも幅が広がる。

 2020年に開催する東京五輪はテロの標的ともなり得る。条約の締結は不可欠だった。

 ただし新法の施行や条約の締結でテロがなくなるわけではない。法律をどう駆使し、条約を役立たせるかは、今後の課題である。

 一方で、テロ等準備罪に対する批判や懸念の声はやまない。内心の自由を侵す。最近のテロは単独犯が多く新法に効力はない。厳しいテロ対策法を有する英仏でもテロは起きている、などなどだ。

 新法は処罰の対象を共謀や計画だけではなく、具体的な準備行為があった場合と定めている。

 単独犯に有効でないのは事実だが、組織犯罪を見逃していい理由とはならない。

 英仏では実際にテロ実行前の摘発も相次いでおり、法がなければさらに悲惨な事件を防げなかった可能性もある。

 反対論の多くは杞憂(きゆう)であり、現実に即していないといえる。実行前の犯罪を処罰対象とするのは日本の刑事法の原則に反するとの意見もあるが、無差別大量殺人などのテロ計画を察知したとして、多くの人命を失う実行後に摘発したのでは遅いのだ。

 また新法はテロ集団のみを対象としているものではない。暴力団犯罪や振り込め詐欺集団の摘発にも期待は大きい。

 国民の安全を守ることを目的とする法律だ。捜査機関は適正な運用、執行を重ねることにより、新法への信頼を得てほしい。

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