【甘口辛口】稀勢の里の夏巡業参加に心配の声…秋場所休場でも誰も文句は言うまい

■8月10日

 「本当に出ていって大丈夫なのか」と、横綱稀勢の里の夏巡業合流のニュースに首をひねったファンも多かったのではないか。左上腕のけがが完治せぬまま出場した名古屋場所で左足首を痛め2場所連続途中休場。先月30日から始まった巡業も休んでいたが、10日、地元茨城・日立市から合流するという。

 東京の田子ノ浦部屋では報道陣に非公開の稽古を始めているとはいえ、シコなど基本運動の段階で巡業に出ても関取衆との稽古は無理のようだ。今夏の巡業は23日間の日程で残りは14日。東北や北海道では暑さの中、毎日のようにバスや列車での長い移動が続く。けが上がりの稀勢の里にメリットがあるかどうか。

 それでも合流するのは秋場所(9月10日初日、両国国技館)出場への強い意思の表れかもしれない。しかし、横綱審議委員会からは秋場所について「万全の態勢で出てこられないなら休んでいい」との温かい言葉がかけられている。「しっかりしろ」「品格がない」と、お叱りを受ける横綱はいても「休場可」のお墨付きを得た横綱は初めてだ。

 「それだけ期待が大きいからで、ありがたいことではないか」とは横綱の大先輩、元三重ノ海の石山五郎氏。「巡業に出てみんなの稽古を見ていれば不安は軽減するだろう。ただ、また無理して3場所同じ結果が続けば大変なことになる。自信が持てなければ休む勇気も必要だ」と続けた。

 5日に始まった秋場所の前売りは、わずか50分間で15日間の全日程が完売した。異常なまでの人気の中心は稀勢の里かもしれないが、たとえ休場でも誰も文句は言わないはずだ。最後は本人が決めることだが、今度こそ判断を誤らないでほしい。 (今村忠)

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