【甘口辛口】「40歳まで現役」の希望かなえるためにも…休場発表の稀勢の里はしっかり体を治してほしい

■9月8日

 鳴戸部屋の稽古を見学したとき、先代の鳴戸親方(元横綱隆の里)の指導に背筋が伸びた。「そのくらいで稽古に身が入らないでどうする!」。外耳炎なのかしきりに耳を痛がる高安に師匠が雷を落とすと、部屋の空気が一気に引き締まった。それから高安は痛みを忘れたように稀勢の里の胸を借りていた。7年前のこと。高安は直後の秋場所で幕下優勝を飾った。

 鳴戸部屋は、相撲界屈指の猛稽古で知られていた。稀勢の里も38度の熱ぐらいでは稽古を休めなかったという。「とにかく稽古場にだけは下りろ、と。まあ下りたら下りたで、結局稽古をやらされるのですが」と産経新聞の取材に答えている。

 そうした師匠の厳しい指導があったからか、平成20年の秋場所では、腸捻転を患って入院していた病院から国技館入りして相撲を取ったという。26年の初場所中に右足親指を悪化させたときも、休場は千秋楽のみ。師匠の指導によって培われたタフな肉体と強い精神力があるから、今年の春場所13日目に左の胸と腕を負傷しながら強行出場して連続優勝を果たせたのだろう。

 そんな稀勢の里が2場所続けて途中で休場。横綱としての責任感からなのか完治前に出場し、それが裏目に出た格好だ。後援者の一人は相撲通と「先代の師匠が存命なら『しっかり治してから万全の状態で出ろ』と言って、横綱も従うはず」と話したそうだ。

 秋場所へ向けての調整が遅れていると報道されていたら、休場が昨日発表された。無理をすれば「40歳まで現役を続けたい」という自身の希望がかなえられないと判断したのだろう。ファンも短命の方が失望感が強い。今場所は高安らに任せ、体をしっかり治してほしい。 (鈴木学)

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