【主張】大学ランキング 産学のバトンパスを磨け

 英国の教育専門誌が発表した「世界大学ランキング」で、東大は昨年から7つ順位を下げ、過去最低の46位となった。アジアでの順位も4位から6位に後退した。

 政府は平成26年に「今後10年間で、世界ランク100位以内に日本の大学を10校以上入れる」との目標を掲げ、重点支援する「スーパーグローバル大学(SGU)」を選定した。しかし、今年200位以内にランクインしたのは東大と74位の京大(昨年91位)の2校だけである。

 重点支援の成果は出ていない。文部科学省が学術研究の強化を目指して推進した「ポスドク(博士研究員)1万人計画」(8~12年)は、かえって研究環境を悪化させた。同じ轍(てつ)を踏まないために、国際評価を踏まえて大学の現状を正しく把握し、抜本的な改革に取り組まなければならない。

 英専門誌は、東大の順位下落の原因として資金不足を挙げる。同誌の評価指標は「教育」「研究」「論文の被引用数」「国際性」「企業からの収入」の5つで、東大は「国際性」と「企業からの収入」で、海外の大学に大きく後れをとっている。

 日本の大学は自立を尊重する傾向が強く、民間企業との共同研究が欧米に比べて大幅に少ない。国の予算増額が難しい情勢下で、資金不足を解消する道は、産学連携の抜本的な拡充しかない。

 産学の連携で「金の流れ」以上に重要なのは、「人の流れ」をつくることである。

 近年、海外留学生と博士課程進級者の減少が続いている。「就職活動に支障が出る」「博士課程に進むと、民間企業の門戸が極端に狭くなる」といった理由が挙げられる。就職と雇用の接点での「繋(つな)がり」の悪さが国際化を停滞させ、人材難による研究力の低下も招いているのだ。

 海外留学や博士課程で高度な研究に携わった経験が、キャリアアップではなくハンディキャップになっている現状を打破し、産学間に健全な「人の流れ」をうみ出さなければならない。

 手本がある。陸上男子400メートルリレーの日本チームだ。海外チームの追随を許さないバトンパスの技術で、リオデジャネイロ五輪で銀、ロンドン世界陸上で銅メダルに輝いた。独創性と連携を磨いて世界と戦う。大学と産業界が目指すべき道である。

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