【産経抄】独立すれば、レアルとバルサはどうなる? 10月9日

 スペイン・カタルーニャ自治州の州都に本拠地を置くサッカーチーム、バルサ(FCバルセロナの通称)は、世界屈指の人気を誇る。地元での試合では、キックオフから17分14秒たつと、サポーターが一斉に「独立!」と叫ぶ。

 ▼スペイン継承戦争で、バルセロナがスペイン国王軍の前に陥落した1714年にちなんでいる。首都を本拠とするライバル、レアル・マドリードが相手だと、熱気はさらに高まっていく。

 ▼両チームの背景には、ローマ帝国の時代にまでさかのぼる「民族」の問題が横たわる(『レアルとバルサ 怨念と確執のルーツ』田沢耕(こう)著)。もっとも民族間の感情が特に険悪になったのは、スペイン内戦後のことだ。フランコ独裁政権は、内戦中に共和国軍の拠点となったカタルーニャを徹底的に弾圧した。文化と言語を奪われた人たちにとって、バルサは心のよりどころとなった。

 ▼現在の自治州は、工業や観光業が盛んで税収も多い。にもかかわらず、他の地域に比べて見返りが少ないとの不満がある。過去の抑圧の記憶と結びついて、独立運動を突き動かしてきた。

 ▼今月1日に行われた独立の是非を問う住民投票では、賛成が90%を超えていた。とはいえ、投票率は約4割にすぎない。混乱を嫌って企業の流出が続き、中央政府との対話を求める声も強まっている。州首相が独立宣言を行うのか、予断を許さない状況である。

 ▼独立騒動は、ワールドカップにも影を落とす。先週ロシア大会への出場を決めたスペイン代表チーム内で、独立支持派の選手と他の選手との軋轢(あつれき)も報じられた。将来、レアルとバルサの伝統の一戦もなくなるかもしれない。となれば、世界中に広がるバルサファンの大半は独立に反対だろう。

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