【甘口辛口】『シン・ゴジラ』の劇中せりふ「10年先もこの国を残す方が重要だ」そんな政治家がこの国に増えることを望む

■11月10日

 小池百合子東京都知事と立憲民主党の枝野幸男代表が取材協力した映画といえば、『シン・ゴジラ』。巨大不明生物が現代の日本に現れたら…。そんな映画を作る際、日本を動かしている政治家や官僚がどう対応するかを調べるのは不可欠。選ばれた政治家が、2011年の東日本大震災のときに官房長官だった枝野氏と、その前の自民党政権で防衛大臣をしていた小池氏だった。そうした取材の成果もあり、これまでの日本映画にはなかったリアルな政治フィクションの傑作が誕生した。

 映画のキャッチコピーは「ニッポン(現実)対ゴジラ(虚構)」。ゴジラは「3・11」の暗喩といわれる。間違いないが、小欄は現代の日本を取り巻くさまざまな不安、恐怖、脅威の象徴と捉えたい。今なら北朝鮮だろう。

 先の総選挙は公示前、自民と希望による政権選択選挙の様相だったが、結果は自民の圧勝。民進党の希望への合流と、排除による分裂が野党の敗因といわれているが、北朝鮮の脅威もあったはずだ。その中で家族の命を託せるのは、米国と蜜月関係にある安倍政権しかないと多くの国民が判断したとみている。

 小池氏と枝野氏は現実のゴジラ(北朝鮮)に敗れた格好。ゴジラから日本を守るために協力し、エンドロールで仲良く名前が並んだふたりが党の代表として衆院選で戦い、ともに自民に敗れたのはなんとも皮肉だ。

 トランプ大統領が日本を含むアジア歴訪中の12日に『シン・ゴジラ』がテレビで放送されることに奇縁を感じる。劇中、こんなせりふがある。「僕が10年後に総理になるより、10年先もこの国を残す方が重要だ」。そんな気概にあふれた政治家がこの国に増えることを望む。 (鈴木学)

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