【主張】拉致40年 母の悲痛な思いに応えよ

 新潟の中学1年生、13歳だった横田めぐみさんは、クラブ活動を終えての下校途中、工作員に拉致され、北朝鮮に連れ去られた。昭和52年11月15日のことだった。あれから、40年がたつ。

 両親は長く悲しく怒りの日々を送ってきた。14日は父、滋さんの85歳の誕生日でもあった。40年前の拉致前日も、家族で父の誕生日を祝っていた。誰もその後の悲痛な歳月を想像することなどできなかった。

 母の早紀江さんは本紙に連載中の「めぐみへの手紙」に14日、こう記していた。「拉致を解決できないのは国の恥です」

 国には、この母の思いに応える責務がある。何が何でも被害者を取り戻さなくてはならない。

 平成14年、当時の小泉純一郎首相が訪朝し、金正日国防委員長が初めて日本人の拉致を認めて謝罪した。蓮池薫さんら5人の拉致被害者が帰国したが、めぐみさんら8人は一方的に「死亡」と伝えられた。早紀江さんらは信じなかった。送りつけられた「遺骨」は鑑定の結果、別人のものだった。あれから、15年がたつ。

 26年にはストックホルム合意で北朝鮮は拉致被害者らの再調査を約束したが、あれから3年を過ぎても事態は何ら進展していない。その都度、家族らは失望、絶望の淵に追い込まれてきた。

 いずれも、例えようのない残酷な年月である。

 めぐみさんの両親のみならず、肉親の帰りを待つ家族の高齢化が進んでいる。拉致被害者自身も同様である。

 北朝鮮をめぐる情勢は緊迫している。核実験、ミサイル発射を繰り返して国際社会を恫喝(どうかつ)し、緊張を高めている。

 北朝鮮に対する最大限の圧力強化を求めてアジア各国を歴訪したトランプ米大統領は、最初の訪問国日本で早紀江さんら拉致被害者の家族と面会し、「安倍晋三首相とともに、母国に戻れるよう尽力したい」と述べた。

 米大統領の理解と援護は心強くありがたいが、これをどう拉致問題の解決に結びつけるかは、日本政府の取り組みにかかっている。拉致被害者全員の帰国を実現するには、日本自身が主体的に動くほかない。

 拉致問題の解決なしには国の未来を描けないのだと、北朝鮮に分からせなくてはならない。

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