【甘口辛口】北朝鮮では漁は「戦闘」で漁師は「戦士」 日本に漂着した船は漂流したうちの10分の1もないのでは

 ■12月3日 日本海側の遊漁船は、冬場は休みが多い。北西の季節風が吹きつけ、出船できる海の状況ではなくなるからだ。北海道から石川県にかけて、相次いで北朝鮮籍とみられる無人の漂流漁船が発見されている。そのニュースに触れるたび、背後にある悲劇を思わざるを得ない。

 「日本に着いた船なんて、漂流したうちの10分の1もないんちゃうか。あんな喫水の浅い木造船、横から冬の波を受けたらひとたまりもない」。関西のベテラン船長が沈痛な様子で話してくれた。北西の風に乗って、北朝鮮から日本の排他的経済水域(EEZ)まで違法操業しに来た船のうち、かなりの数が無事に帰れていないのではないか。船の映像を見た海の男の直感だ。

 11月28日付産経新聞によると、日本のEEZにある好漁場「大和堆(やまとたい)」周辺で昨秋以来、北朝鮮が違法操業を続けている。金正恩政権は食糧不足解消に向け「冬季漁獲戦闘」と名付けて冬場も出漁を促しており、北メディアによると、漁は「戦闘」で漁師は「戦士」だそうだ。

 天気予報の波の高さについて皆さんは実感がおありだろうか。筆者の釣り取材経験から言えば、遊漁船なら波高3メートル超でもう腰が引ける。波には頂点と底があり、波高3メートルなら上下6メートル、5メートルなら上下10メートル、人も船も波をかぶりつつ翻弄され続けることになる。

 秋田県由利本荘市に木造船で漂着した北朝鮮の男性8人は幸運だったというしかない。2日、帰国のため長崎県大村市の入国管理施設に移送された彼らの目に日本はどう映ったのだろう。海を隔てた隣国の、ミサイルにバンザイする平壌市民ではない普通の人々の思いを知りたいものだ。 (親谷誠司)

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