シンガポールに温泉文化を 〝先進国〟日本が協力できる機会かも

 シンガポール北部センバワン空軍基地敷地内に、本土唯一の温泉が公開されている。基地拡張で閉鎖も検討されたが、公園へ2019年までに整備されることが決まった。改修前に見ようと訪れた。

 フェンスに囲まれた歩道を行くと、テニスコート3面ほどの広場に出た。数カ所の蛇口から無色透明の熱泉が流れている。硫黄の香りが鼻をついた。20人ほどがイスに座って、たらいに足を入れ談笑していた。

 近くにいたおばさんに聞き、自分も70度ほどの源泉をくみ置きの水で薄め、バケツに足を入れた。熱くてすぐ引き上げた。おばさんたちが笑いながら「気をつけて」と指導してくれた。

 計画では、敷地を10倍に拡張し、足湯施設のほか飲食店やトイレを新設する。シンガポールでは、近所が助け合って過ごした昔の田舎を「カンポン」と呼び懐かしむ。この温泉が保つその雰囲気は残してほしい。

 碑文によると、温泉は1908年の発見後に飲料用に販売された。日本占領下の42年からは入浴施設もできたが、44年の爆撃で一度は枯れ、2002年から市民に開放されている。日本への旅行客増加で、湯船につかる習慣がシンガポール人にも広まってきた。温泉“先進国”日本が、公園の浴槽整備などで協力できる機会かも。(吉村英輝「マーライオンの目」)

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