【産経抄】「海岸線」の長すぎる国の宿命 12月5日

 日本は海岸線の異常に長い国である。松本健一さんの著書『海岸線の歴史』から教わった。日本は四方を海に囲まれているだけではない。海岸線の多くが凹凸に富んでいるからだという。

 ▼なんと国土面積が日本の25倍近くもある米国の海岸線の1・5倍、26倍近くもある中国の2倍以上に達している。普段はほとんど関心を持たない事実に、いやでも向き合わざるを得ない出来事が続いている。

 ▼北朝鮮から来た船が日本海沿岸で相次いで漂着する事故については、先週のコラムでも書いた。先月28日には、北海道松前町の沖合にある無人の島でも木造船が見つかっている。その後、函館港の沖合に曳航(えいこう)された。現在は、海保や警察が北朝鮮国籍の10人の乗組員から事情を聴いている。島にある漁業者の小屋に置かれていたテレビから灯台のソーラーパネルにいたるまで、根こそぎ持ち出した疑いがある。

 ▼松本さんによると、江戸時代中期までの日本には、島国に閉じこもっていれば安心という内向きの精神性ができあがっていた。しかし実際には、外国人による上陸や略奪事件が起きていた。戦後の日本人の海防に対する意識も似たようなレベルである。それにつけ込んだ北朝鮮は工作員を次々に船で送りつけ、日本人の拉致を繰り返してきた。

 ▼「在韓米軍兵士の家族を韓国から退避させるべきだ」。北朝鮮による新型ミサイル発射をめぐり、米共和党の上院議員がテレビのインタビューで、軍事衝突が近づいている、との認識を示した。そうなれば、北朝鮮から大量の難民が日本海を渡って押し寄せてくる事態が想定される。

 ▼なかにはテロリストが潜んでいるかもしれない。長すぎる海岸線を持つ国の宿命とはいえ、悪夢のような国難である。

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