【主張】中西経団連 経済活性化の先頭に立て

 経団連の次期会長に日立製作所の中西宏明会長の就任が内定した。

 リーマン・ショック後に大幅赤字に陥った日立を大胆な事業再編などで再建し、V字回復を果たした経営手腕への評価は高い。財界の新たな舵(かじ)取り役として、その力を存分に発揮してほしい。

 中西経団連が最優先で取り組むべきは、品質データの改竄(かいざん)や建設談合などで大きく低下した産業界の信頼回復である。企業統治の徹底を促し、不正の根絶につなげなければならない。

 そこが不十分なままでは、政府・与党に対する政策提言も説得力を欠くことになるだろう。

 経済再生でも先頭に立たなければならない。来月に本格化する春闘交渉をめぐり、政府は経済界に3%の賃上げを要請している。日立は春闘相場に大きな影響を与える存在でもある。個人消費の活性化につながる着実な賃上げを主導してもらいたい。

 財界活動に距離を置いてきた日立の出身者が会長に就くのは初めてだ。財界の人材不足が指摘されて久しい。それだけに「本命中の本命」とされてきた中西氏への期待はとりわけ大きい。

 中西氏も「エネルギー問題など国の基本政策には、日立会長だけでなく、経団連の立場で取り組むことが日本経済の再生に意味があると思った」と述べている。この言葉通り、原発の利活用による電力の安定供給などでも政府に積極的に注文をつけてほしい。

 財政健全化に向けた取り組みをめぐっては、着実な消費税増税の実施を求めるなどの政策提言が欠かせまい。安定した経済成長には、財政の持続可能性を高めることも肝要である。与党で無用な歳出圧力が高まるようなら、これにくぎを刺すのも中西経団連に課せられた大きな役割である。

 政府が昨年、子育て支援財源として経済界に3千億円の追加拠出を求めた際には、これに応じた経団連と難色を示した日本商工会議所とで当初の対応が分かれた。

 足並みが乱れるようでは財界の存在感も低下しよう。政府の意向をただ追認するのではなく、是々非々の立場で緊張感のある関係を構築すべきである。

 長時間労働を是正しつつ着実な賃上げを図るには、生産性の向上が不可欠である。そのための取り組みを産業界全体で強めるよう、指導力を発揮してもらいたい。

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