【主張】線香の配布 法改正で問題の根を絶て

 政治家や政党支部から祝儀や香典の類いを受け取るのはもうやめる。有権者としてそう割り切るのが、それほど難しいことなのだろうか。

 有権者ではなく、支持者と置き換えた方が正確かもしれない。まさか、それが欲しくて選挙の度に票を投じているわけでもあるまい。

 自民党の茂木敏充経済再生担当相が支部長を務める政党支部が、選挙区内で有権者に線香や手帳を配っていたことが、国会で追及されている。

 本人ではなく、政党支部からなら直ちに違法ではないという理屈が語られているが、公職選挙法の趣旨をはき違えていないか。有権者に金品を渡してはならないというのは柱の一つだ。線香を秘書から受け取り、茂木氏を思い浮かべない有権者がいるものか。不適切な行為であるのは明らかだ。

 追及する野党にも、香典やモノを配り、政党支部の資金でまかなっていた例が表面化した。希望の党の玉木雄一郎代表らである。相打ちで事態は収束する、という見方もあるが、それで終わりにするのでは、あまりに非生産的だ。

 同様の問題は、小野寺五典防衛相が過去に起こした。名前入りの線香を配り、公選法違反で議員辞職し、公民権停止となった。

 自民党で選対委員長を務めた茂木氏が、まさか知らないはずはあるまい。違法とされない方策を練ったのだろうか。

 支持者をつなぎ留めるのに、そこまでして物を配らなければならないのか。配るのをやめて落選するなら、その程度の民主主義にすぎない。そうは言えないか。

 この機会に、政治浄化の措置をぜひとってほしい。

 総務省は、政治家個人の名前が入っていればアウトで、政党支部としてならセーフ、という公選法の解釈をしている。まるで子供だましである。そんな法解釈が間違っていないのだとすれば、公選法自体の欠陥といえる。

 与野党は、公選法を改正し、脱法的な行為を明確に禁止すべきである。法改正が実現するまでは、政党支部で金品の配布を行わないことを、各党が申し合わせたらどうか。

 それなしには、金品をやりとりする悪弊はなくなるまい。有権者の意識を変えるためにも、まず政治家の側が反省し、行動を起こしてほしい。

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