【甘口辛口】次男孤独死の北島三郎が涙の会見、覚悟にじみ出た姿に感服

 ■3月10日 ようやく春めいた陽気となり、桜の季節が近づいてきた。そんな折、突然の悲報が列島を駆け抜けた。歌手、北島三郎(81)の次男で音楽家、大野誠さんが、東京都内の自宅で遺体で発見されたニュースである。働き盛りの51歳。死因は心不全だが、下戸の北島とは正反対で酒量が多くたばこも吸い、肝臓を悪くしていた。

 5人兄弟姉妹の上から2番目。結婚歴はなく、1人暮らしだった。北島の所属事務所の関連会社で役員を務める一方、北島が作曲で行き詰まったときは助言も。3日に発見されたときは死後約1週間。孤独死だった。作詞作曲に没頭すると数日間、外部との連絡を絶って、自宅にこもることもあったという。

 ましてや50代ともなれば、家族と頻繁に連絡を取らないのは普通だろう。とはいえ、「他人ごとじゃない…」と身につまされた人は多かったのではないか。息子の死が公になった7日、北島は通夜の喪主を務めたその足で会見。ファンや支えてくれる多くの人へ、自らの口で伝える覚悟がにじみ出ていた。

 その姿に感服するとともに、「誠は頑張り屋で音楽センスがあり、親のことも気にかけてくれた」と涙ながらに話す言葉に、感謝の思いがあふれていた。俳優、大杉漣さんが急死した先月、長男の写真家が「人として父を尊敬していた」と述懐。あのときと同様、親子の情が一筋の光のように思えた。

 11日で東日本大震災から丸7年。大切な人との日常が、当たり前ではないことを思い知らされた日でもある。作家、井伏鱒二が遺(のこ)した漢詩の名訳が、ふと思い浮ぶ。「花に嵐のたとえもあるぞ。さよならだけが人生だ」。その意味を改めてかみしめたい。(森岡真一郎)

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