【主張】終末期の指針 タブーとせず語り合おう

 人生の最期をどのように過ごすか。終末期の医療などについて厚生労働省のガイドラインが11年ぶりに改訂された。

 病院内での医療中心から、自宅での看取(みと)りが増える現状を踏まえた。高齢社会で直面する重い課題である。

 近年、欧米で進む「アドバンス・ケア・プランニング(患者の意思決定支援)」の考えを取り込んだ。

 本人と家族や友人、医療・ケアチームが繰り返し話し合い、「その時」にどうするかの意向を共有しておくことを求めた点が新しい。こうしたプロセスを経ることで意思表示できない場合でも、本人が持っていた考えを最大限尊重した選択ができるようにする。

 これまでの指針は、富山県射水市民病院で末期がん患者の人工呼吸器を取り外すなど延命措置が中止された問題を契機に平成19年につくられた。主に病院で医療行為の開始や中止を決定する場合を想定し、意思確認ができない場合などには、複数の専門家からなる委員会の設置などを求めていた。

 最期を過ごす場所として自宅も選択肢となってきている。

 命を永らえるだけの延命治療を受けたくないと思っている人は少なくない。しかし、それを書面にしておくことには相当のエネルギーや覚悟がいる。映画などをきっかけにエンディングノートやリビングウイル(生前の意思表示)が話題になったが、実際に作成している人はわずかだ。

 医療現場では本人の意向に反し救急搬送され、求めていない延命治療が施される事例もある。

 書面を作成すれば済むというものでもない。疾患や医療の見通しなどによって治療をどうするかの判断は異なる。本人の人生観や死生観、望む医療の形を全て書き込んで準備しておくことは困難だ。日頃から家族や友人らと意向を共有しておくことは欠かせない。

 在宅医療に携わる医師のなかには、どんな最期を迎えたいかを、診察中に気兼ねなく聞く人もいる。何度も聞くのは気持ちは変わるものだし、聞くことで患者が真剣に考えるようになるからだ。

 千葉県松戸市では介護保険のケアマネジャーが要介護高齢者の意思決定を支援し、家族や医療職、救急などと意向を共有する試行が始まっている。死を語りあうことをタブーにしないチームをつくることが何よりも重要だ。

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