【主張】加計文書 一体どちらが真実なのか

 安倍晋三政権の国家戦略特区に基づく学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐり、地元である愛媛県から出てきた文書と政権側の言い分が食い違う事態となった。

 獣医学部新設に関して愛媛県職員が作った平成27年4月の面会の備忘録に、当時の柳瀬唯夫首相秘書官(現経済産業審議官)が「首相案件」と語ったとする記載があった。

 柳瀬氏は面会については「記憶の限りではお会いしたことはない」とし、首相案件と述べたことは「あり得ない」と否定した。

 首相は11日の衆院予算委員会で再調査の考えを示した。これに先立ち、菅義偉官房長官は各府省庁に関係文書の確認を命じた。

 北朝鮮問題への対応などで正念場を迎えるときに、政権の信頼を損なう事案を放置することは許されない。首相は経緯の説明など真摯(しんし)に努めるべきだ。

 備忘録には「先日安倍首相と同学園理事長が会食した際に、下村(博文)文部科学相(当時)が加計学園は課題への回答もなくけしからんといっているとの発言があった」との記述もあった。

 下村氏は自身がしたとされる発言を否定した。

 一体、何が本当なのか。国民は戸惑うばかりである。

 首相は獣医学部の新設を知ったのは、特区諮問会議が加計学園を事業者に決定した29年1月20日だと説明してきた。首相秘書官が2年近く前に関わっていたとすれば話が異なると思われかねない。

 立憲民主など野党6党は、首相主導の疑いが濃くなったと批判し、柳瀬氏らの証人喚問を求めている。希望や民進、共産などは首相の退陣を主張している。

 国家戦略特区の趣旨は、省庁の「岩盤規制」に政治主導で穴を開けて政策を遂行するもので、特区を扱う日本経済再生本部の本部長は首相である。特区諮問会議などの手続きもとられており、首相らが関わること自体について、違法性は指摘されていない。

 この点は踏まえておくべきだが、当の首相が関与を強く否定してきただけに、首相の周辺人物の関わりの有無は見過ごせない。

 森友問題をめぐる財務省の不祥事や自衛隊の日報問題を含め、行政の信頼を傷つける事案が重なっている。自民党の二階俊博幹事長が言うまでもなく、国民は「うんざりしている」のである。

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