【主張】働き方改革法案 丁寧な説明で理解求めよ

 安倍晋三政権が今国会の最重要法案と位置づける働き方改革関連法案が国会に提出された。長時間労働を是正し、生産性向上を通じて成長力の底上げを目指している。

 何より丁寧な説明を尽くし、国民の不安を払拭して早期成立を図らねばならない。

 裁量労働制の不適切データ問題や東京労働局長の不謹慎発言などで、労働行政に対する不信が高まっている事態は深刻に受け止めるべきだ。幅広い理解を得るためにも緊張感を持って法案審議に臨まなければならない。

 法案の柱は3つある。残業時間の上限規制に加え、働いた時間ではなく成果をもとに賃金を決める「高度プロフェッショナル(高プロ)制度」の導入、それに同一労働同一賃金の制度化だ。いずれも日本の雇用制度を大きく改革するものといえる。

 経済・社会構造の変化に伴い、日本の働き方は曲がり角を迎えている。これまで事実上、青天井だった残業時間を厳しく管理し、労働者の心身の健康を保護するのが罰則付きの上限規制である。悲惨な過労死を防ぐためにも導入を急ぐべきだ。

 一方で労働時間に成果が比例しない仕事も増えている。高収入の一部専門職を労働時間規制の対象から除外する高プロ制度には、効率的な働き方を促す狙いがある。長時間労働で低下している生産性を高めるためにも時代に適した制度といえるだろう。

 だが、野党の一部には「残業代ゼロ法案」との批判がある。この制度を社員に適用するには、一定の収入や本人同意だけでなく、会社側がその社員の労働時間を把握して健康管理を義務づけることも盛り込まれた。分かりやすい説明で不安の解消を図ってほしい。

 仕事が同じなら雇用形態を問わずに賃金も同じにする同一労働同一賃金は、働く人の約4割を占める非正規社員の着実な待遇改善を図るものと期待されている。労働人口が減少する中で、女性や高齢者の就業促進にもつながる制度として活用したい。

 働き方改革では、不適切データを使った首相答弁の撤回で裁量労働制の適用拡大が法案から削除された。「是正勧告」発言で恣意(しい)的な権限行使を示唆した東京労働局長は更迭された。法案を主導する厚生労働省幹部らの行動や発言で混乱を広げる事態は論外だ。

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