【主張】海賊版サイト 文化の泥棒は捨て置けぬ

 人気漫画などを作者に無断でインターネット上に掲載する「海賊版サイト」が横行している。著作権を侵害する犯罪行為である。

 政府は民間のプロバイダー(接続業者)に協力を求める緊急対策を決めた。創作の対価が奪われる被害が深刻だからである。文化を盗む犯罪に有効な手立てが必要だ。

 最近の海賊版サイトでは、漫画雑誌やコミックなどを大量に扱い、最新刊が発売から時間をおかずに掲載されるケースが問題となっている。主な海賊版サイトによる著作権侵害の損失額は、約4千億円に上るとの推計もある。

 出版社などが個別に削除要請を行ってきたが、限界がある。削除に応じない例や海外サーバーを経由するなどし、サイト運営者の特定は困難なことが多い。

 緊急対策では、プロバイダーに自主的対応を促した。当面、特に重大な被害をもたらす3つのサイトを示し、接続を遮断することが適当だとした。

 接続遮断は、児童ポルノ対策で特例で実施されてきた。特例となったのは、海賊版サイトへの適用にも、憲法の定める通信の秘密や検閲禁止に抵触するのではないかといった批判があるためだ。

 だが、明らかな違法行為への対応を批判するのは的外れだ。犯罪を放置すれば、法の正義は実現されない。

 海賊版サイトへ誘導する「リーチサイト」も生まれており、対策や法規制は遅れている。

 政府は他に悪質サイトが現れた場合、有識者を入れた協議で検討する。また接続遮断の法的根拠を明確にする法整備を進める。通信の秘密や表現の自由を守るのは当然としても、冷静に議論して実効性ある対策が急がれる。

 日本の漫画やアニメは海外から注目され、成長産業として期待されている。足元で違法を野放しにしておきながら、中国に海賊版対策を厳しく求められるか。

 海賊版サイトの利用者は10代、20代の若者も多い。著作権侵害の認識も薄い。

 危機感を抱いた日本漫画家協会は海賊版サイトに対し、「日本の漫画などの文化が滅びてしまう」と非難声明を出している。

 創作の収入が削(そ)がれれば新人漫画家は生活が成り立たず、次の作品も生まれない。ただ読みは、創作の芽を摘んでいるのだ。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ