【主張】3米国人解放 拉致解決への導灯とせよ

 北朝鮮に拘束されていた米国人3人が解放され、帰国した。首都ワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地では、トランプ大統領らが笑顔と握手で出迎えた。

 この光景を日本の拉致被害者の家族はどんな気持ちで見ただろう。横田めぐみさんら被害者は残酷にも北朝鮮の国家機関にさらわれ、長い年月がたつ。

 日本政府は必ず、被害者の奪還を果たさなくてはならない。米朝首脳会談を前に3人を取り戻した米国の交渉を導灯とし、帰国の実現に結びつけてほしい。

 安倍晋三首相はトランプ氏との電話会談で、3人の解放について「大きな成果であり、北朝鮮の前向きな姿勢を歓迎したい」と強調した。めぐみさんの母、早紀江さんは「3人の米国人を解放できるのであれば、何の落ち度もない日本人拉致被害者も解放できるはずだ」と述べた。

 米国はなぜ、3人の解放を実現できたのか。それは、核・ミサイルなどの廃棄を求める強い圧力を背景としたからである。日本も原則を曲げてはいけない。

 原則とは何か。「対話と圧力」「行動対行動」である。対話のための対話に意味はなく、いまこそ圧力の徹底を堅持すべきだ。米国人3人の解放は、金正恩朝鮮労働党委員長が圧力には折れることを示している。

 北朝鮮側は、日朝首脳会談開催の可能性もにおわせている。日本からの多額の経済的援助を期待するものであろう。

 だが、拉致問題の具体的進展を行動で示さない限り、交渉に応じてはならない。安易な「日本置き去り論」など無視して原則を貫くべきである。

 トランプ氏は拉致問題に深い理解を示している。日中韓サミットの共同宣言には「中韓両首脳は拉致問題が対話を通じて可能な限り早期に解決されることを希望する」と記された。文言は弱いが、「拉致」の2文字が明記されたことに意味はある。

 北朝鮮側は、米国人3人を解放したことで人権問題にけりをつけ、拉致問題と切り離したいのだろう。そんな策動に乗せられてはならない。

 国際社会の協力を取り付け、制裁を突きつけ続ける。日本は拉致問題の解決なしには動かない。相手にそう理解させるしか、拉致被害者奪還の道はない。

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