【主張】1カ月後に米朝 厳しい現状認識が必要だ

 史上初となる米朝首脳会談の日程と開催場所が決まった。

 第三国のシンガポールが会場に選ばれた。中立的な場所であり、トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長が、意味のある協議に専念するうえでふさわしい。

 その意味とは、北朝鮮の核、化学、生物の大量破壊兵器とあらゆる弾道ミサイルの放棄にほかならない。同時に、拉致問題の解決に道を開かせることである。

 歴史的な会談に多くの関心が集まり、金正恩氏は「非核化」の言葉を多用する。だが、問題解決に向けた実質的な動きはない。

 ボルトン大統領補佐官は「政権内では誰も一切の幻想を抱いていない」と語った。正しい現状認識として共有したい。

 明確にすべきは、核放棄をいかなる方法でいつまでに実現するのかである。体制保証といった北朝鮮の要求は検討に値するのか。進展がみられた場合の、東アジアの安全保障情勢をどう描くかも問われよう。

 トランプ氏は「大成功を収める」と抱負を述べている。圧力をかけ続けてきたことを評価し、その交渉力に期待したい。もとより、成功があらかじめ約束されているわけではない。

 これからさらに1カ月、駆け引きが続くことになる。将来に禍根を残すような妥協は避けてもらわなければならない。

 金正恩氏は3月末以降、2度訪中して習近平国家主席と会談した。習氏は後見役の立場をはっきり示している。「米朝合意」が中国にとって都合のよいものとなるよう、目指しているからだ。

 その連携を日米は超えられるか。トランプ氏は日本を「ビッグプレーヤー」と呼ぶ。安倍晋三首相との間で引き続き緊密に意思疎通を図る必要がある。

 米朝首脳会談直前に、カナダで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)が開かれる。シンガポール入りする途上、トランプ氏が日本に立ち寄ることも可能だ。

 首相はぎりぎりまで機会をとらえ、完全な非核化へ妥協を許さないことを確認し、拉致問題解決への協力を求めてほしい。

 前もって公表された日程で金正恩氏が国外に出るのは異例だ。日本も緊張感を保ちながら、内外の情勢を注視すべきだ。圧力の継続は言うまでもない。

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