【月刊正論】文在寅、自由の破壊 いよいよ韓国の赤化が始まった 元韓国駐日公使 洪●

 ※この記事は、月刊「正論7月号」から転載しました。ご購入はこちらへ。

ヒトラー同様に民主制度を悪用

 韓半島をめぐる国際秩序が韓国戦争(朝鮮戦争)の休戦後六十五年ぶりに根底から揺らいでいる。米本土が北の核攻撃にさらされることを決して許さない米国と、水爆とICBM(大陸間弾道ミサイル)を決して放棄できない金正恩の激突は、米中の新冷戦の行方にも大きな影響を及ぼす。

 トランプ大統領がシンガポールでの米朝首脳会談開催を発表したものの、その可否は不透明だ。金正恩の最大の関心事は、自分の体制維持の確実な保証だが、シンガポールに行くこと自体が体制を脅かす。わざわざシンガポールに行っても、トランプ大統領から体制保証の言質を取れるとは限らず、留守中の平壌でクーデターが起きないとも限らない。

 要するに金正恩は米国を相手に時間稼ぎを試みる。そのためには韓国・文在寅大統領と中国・習近平国家主席の助けが絶対必要だ。習近平も文在寅も金正恩の安全を守るため最善を尽くすはずだ。米朝会談をめぐり、南-北-中国の共助VS米-日共助の構図がはっきり確認できる。

 東アジアの現状変更を予測するには、最大の攪乱要因である文在寅と主思(主体思想)派の正体と目的を正確に把握しなければならない。文在寅と主思派が大衆を煽動して、朴槿恵大統領を不法に引き下ろし権力を掌握したのは、憲法に基づく弾劾と政権交代ではなく、自由民主体制の弱点を利用した社会主義革命だった。

 歴史的に民主的選挙制度が悪用されたのは、ドイツ・ワイマール共和国のヒトラー登場や、チリでアジェンデが大統領に就任(一九七〇年)して三年間の社会主義の実験で国を駄目にした例がある。

 文政権の成立後、韓国で全体主義独裁の狂風が吹きまくっている。「積弊清算」という名の人民裁判や魔女狩り式の右派粛清は、従来の権力闘争とは根本的に違い、階級闘争の形で進行している。

 近代国民国家形成のために主要先進国はすでに経験した混乱だが、韓国は二十一世紀にとんでもない混沌を経験している。文在寅政権の目的は体制変革、つまり自由民主体制と自由市場経済体制の破壊。この「ロウソク・主思派政権」が金正恩体制と共助して推進する左翼民衆革命は、中国が主導する現状変更戦略と共鳴している。

わずか1年で従北体制を構築

 韓国では昨年五月の文政権発足後わずか一年で、全体主義独裁体制が構築されて代議政治と法治は崩れ、憲法を無視する民衆革命勢力が政府を掌握した。特に、国政の最高司令塔である青瓦台の大統領府を文在寅の主思派が掌握している。「主体思想派」とは金日成主義者のことだ。主思派はメディアもほぼ完全に統制してしまった。

 文政権の左翼全体主義にとって抵抗勢力とみなされる者は、政府機関はもちろん、少しでも影響力をもつポストならすべての分野から追放、粛清される。親北全体主義政権の無慈悲な弾圧を恐れる人々は毎日、自分の携帯電話の記録を消去している。このような韓国の状況は、自由民主主義体制を共産主義者が乗っ取ればどうなるかを教えている。

 韓国では、朴大統領弾劾政変以後、体制変革(革命)が猛烈なスピードで行われている。文在寅政権は、三権分立と民主的な代議民主主義を否定し、大衆独裁を助長している。青瓦台のHPに「国民請願」コーナーを設け、請願された案件は二十万人が賛成しさえすれば「国民の意思」として法の上に置いている。この紅衛兵式の「請願政治」が実際にどう行われているのか例を見てみよう。

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