【主張】拉致の解決 米との連携で追い詰めよ

 米朝首脳会談でトランプ米大統領は、金正恩朝鮮労働党委員長に対し、拉致問題を提起した。

 電話会談でトランプ氏から説明を受けた安倍晋三首相は「日本が北朝鮮と直接向き合い、解決していかなければならないと決意している」と述べた。日本人を取り戻す最終責任は政府にある。この機を逃さず、被害者の全員帰国に結びつけなくてはならない。

 拉致は、北朝鮮による残酷極まりない国家犯罪である。本来は何ら取引(ディール)の材料にはなり得ない。ただし、そうした常識が通じる相手ではない。問題の解決には戦略が必要である。

 まず、米国との連携をより深化させる必要がある。

 トランプ氏は首脳会談後の会見で拉致問題を取り上げた理由について「安倍首相の最重要課題でもあるからだ」と述べた。これは外交の成果であり、長年にわたって歴代大統領らに拉致の悲惨さを訴え続けた被害者家族らの努力の積み重ねによるものだ。

 米朝は今後、非核化などに向けた実務協議に入るが、ここでも拉致問題が提起されるよう、外交努力を継続する必要がある。

 トランプ氏はまた、日韓両国が北朝鮮への経済支援の用意があるとも述べた。だが日本は、拉致問題の解決なしに一切の経済支援には応じない。制裁を解除することもない。

 このことを米国や国際社会にしっかりと理解してもらい、同調を求めて北朝鮮への圧力とし、強力な制裁の維持も訴え続けるべきである。制裁の環(わ)が緩めば、北朝鮮は動かないだろう。

 たとえ日本一国が制裁強化を叫ぶ事態となっても、「蚊帳の外」論などにひるんではなるまい。

 北朝鮮が求めているのは、体制の保証と経済支援である。この2つが逼迫(ひっぱく)しているからこその外交攻勢である。真の非核化などとともに、拉致問題の解決なしに未来を描くことはできないと、金氏に理解させなくてはならない。

 こうした環境が整ってこそ、日朝首脳会談に成果を望むことができる。成果とは拉致被害者全員の帰国である。

 北朝鮮が恐れるのは米国の軍事的圧力であり、欲しているのは日本の経済力である。両者がタッグを組むことで、金氏を拉致問題の解決へ動かすことができる。今がその機である。

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