【甘口辛口】最後まで明らかにならなかった麻原死刑囚のマインドコントロール

 ■7月7日 突然のニュースに6日朝、テレビにくぎ付けになった。地下鉄サリン事件の首謀者で、オウム真理教の教祖、麻原彰晃死刑囚の執行である。ニュースを見ながら筆者はふと、1995年の事件から14年後に発表された作家、村上春樹氏の小説「1Q84」を思い出した。

 その物語の中で、麻原死刑囚をほうふつとさせるカルト宗教の教祖が女性暗殺者に殺される場面がある。とはいえ、自らの死を覚悟した上での死で、多少なりともいさぎよかったと記憶している。読んだときは留飲を下げたものだが、現実の麻原死刑囚は果たして、どんな思いで絞首刑に臨んだのだろう。

 23年前に逮捕されたとき、1人だけ屋根裏の隠し部屋に身をひそめるほど往生際が悪かった。裁判では、のらりくらりとした証言で犯行動機はあいまいなまま。しかも、一見ぼんくらそうな風貌とは裏腹に、善良で賢そうな信者たちを凶悪な殺人犯に仕立て上げた。なぜ、そのようなマインドコントロールができたのか、真相は闇の中だ。

 それだけに、今も後遺症に苦しむ被害者や遺族は、執行を複雑な思いで受け止めた人が多い。麻原死刑囚は税金で生かされてきたわけで、執行直前の心境ぐらいは今後、明らかになってほしいものだ。思い起こせば麻原死刑囚が逮捕された日、筆者は記者を現場に派遣するデスクの立場だった。

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