【産経抄】9月12日

 まさに「雌雄を決する」という表現がふさわしい。1973年に米国で行われた、女子テニスの女王、ビリー・ジーン・キング夫人と男子の元世界王者、ボビー・リッグス氏の試合である。

 ▼キング夫人は当時、女子の優勝賞金が男子の8分の1という差別に反発、全米テニス協会に反旗を翻していた。そんなキング夫人に、男性至上主義を公言するリッグス氏が勝負を持ちかけた。結果はキング夫人のストレート勝ちである。

 ▼この試合をモデルにした映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」は、今夏日本で公開された。試合後キング夫人らの奮闘によって、男女の金額差は縮まっていく。その名を冠した会場で開催される現在の全米オープンでは、優勝賞金は同額である。

 ▼もっとも今年の女子シングルス決勝の審判の判定をめぐって、再び男女の差別問題が浮上している。元女王のセリーナ・ウィリアムズ選手は、ラケットを投げつける行為や審判への暴言に対するペナルティーとして、ゲームを奪われ、試合後には罰金を科された。

 ▼男子選手とは違う扱いだ、とのウィリアムズ選手の主張に対して、賛否両論が巻き起こっている。往年の名選手では、ジョン・マッケンロー氏が、ウィリアムズ選手の擁護に回った。そもそも選手に倫理規定が適用されるきっかけをつくったのは、現役時代コート上で激情にかられる振る舞いが目立ったマッケンロー氏である。

 ▼その悪童ぶりは、やはり公開中の映画「ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男」で再現されている。「伝説の試合」とたたえられる80年のウィンブルドン決勝を描いた作品だ。大坂なおみ(20)という新たなヒロインを生んだドラマ多きこの大会も、いつか、映画化されるかもしれない。

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