【主張】米国の対中政策 「ペンス演説」を歓迎する

 トランプ米政権が、民主主義への干渉や覇権主義的行動をとっているとして中国政府を批判し、インド太平洋地域の繁栄と安全に関与していく姿勢を鮮明にしたことを歓迎したい。

 ペンス副大統領が中国政策に関する演説で、中国脅威論を展開し、対抗していくと訴えた。11月のアジア歴訪で「自由で開かれたインド太平洋」を支援する政策を打ち出す考えも示した。

 ペンス氏は「中国は別の大統領を望んでいる」と述べ、11月の中間選挙で与党共和党にとり重要な州に介入していると指摘した。米企業や大学、シンクタンク、ジャーナリストらが中国の工作対象になっているとした。

 米国から最先端技術を盗み軍拡に用いている、とも非難した。米国の軍事的な優越を傷つけて「西太平洋地域から米国を排除し、同盟国支援を妨げようとしている」と述べ、日米同盟などの分断を図っているとの認識を示した。

 尖閣諸島は日本の施政権下にあると言明し、南シナ海ではオバマ前大統領との約束を破って人工島の軍事化をしたと批判した。

 中国がアジア、アフリカ、中南米諸国にインフラ整備を理由に巨額の融資をして、意のままに操ろうとする「借金漬け外交」を展開し、軍事基地などを得ようとしていると警戒感を表明した。

 中国外務省の報道官はペンス演説に対し「でっち上げで、断固として反対する」と反発した。

 だが、ペンス氏が示した懸念のほうが説得力がある。日本は、ペンス演説で示された対中観と政策を軽視すべきではない。

 すでに始まっている米中の「貿易戦争」だけでも大きな影響が世界に及ぶが、ペンス氏は通商分野の取引だけでは解決しきれない安全保障、内政干渉、人権分野の問題を突きつけた。中国が「核心的利益」と位置づける台湾問題についても、台湾の民主体制を擁護する姿勢を打ち出した。

 厳しい米中対立が長期化する可能性が出てきたとみるべきだ。米政権が、1971年に始まったニクソン政権以来の対中融和姿勢を転換し、覇権主義的な中国の封じ込めに入る兆しかもしれない。

 中国が覇権主義的に振る舞うことは日本にとっても望ましくない。安倍晋三政権は、同盟国米国と対中政策で協力するため、戦略調整に入ってもらいたい。

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