性的虐待問題への怠慢でローマ法王に辞任要求した元大使

 ローマ法王庁が外国に派遣する大使をイタリア語では「アンバシャトーレ」とは言わない。「ヌンツィオ・アポストリコ」という特別な呼称がある。もちろん、この職に任命される人物は法王庁でも高位にある人物だ。

 そんな特別な地位にあった元駐米法王庁大使が先頃、法王フランシスコに辞任を求めた。2016年まで大使を務めたカルロ・マリア・ビガノ大司教だ。ビガノ氏は8月、一部メディアに告発文を発表した。米国に駐在中だった13年、法王に米国人高位聖職者による若い修道院生への性的虐待疑惑を報告したにもかかわらず、法王は何の措置も取らなかったと主張した。

 法王は8月、訪問先のアイルランドの首都ダブリンからローマに戻る機内で、問題に関する記者からの質問に「諸君の判断に任せる」と答えた。告発文をめぐっては、真偽が不明との指摘も上がっていた。

 ところが9月には、ドイツのカトリック教会で組織するドイツ司教会議が、同国内の高位聖職者による未成年者への性的虐待に関する報告書を公表。事態はさらに深刻さを増していった。

 法王は結局、来年2月に世界各地の代表司教らと虐待に関する問題を協議する方針を示した。事態が収束する兆しはいまだ見られない。(坂本鉄男「イタリア便り」)

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