【主張】ウイグル族拘束 中国の人権侵害見逃すな

 中国が新疆(しんきょう)ウイグル自治区で、100万人以上の少数民族を再教育施設に強制収容した疑いが出ている。「空前の弾圧」だとして米共和党のルビオ上院議員らが対中制裁を促す法案を議会に提出すると明らかにした。

 ルビオ氏らは、2022年北京冬季五輪の開催を見直すよう国際オリンピック委員会(IOC)に要請する方針も示している。

 国連の人種差別撤廃委員会なども、中国政府にこの問題で正確な情報を公開するよう相次いで要求した。

 これに対し中国外務省は、「根拠がない」「内政干渉だ」と反発している。だが、事実と異なると主張するのであれば、中国政府が国際社会が納得する明確な根拠を示して、説明せねばならない。

 国連委は、「ウイグル族ら推計100万人以上が政治キャンプに強制的に送り込まれ、秘密裏に運営されているとの確かな情報が数多くある」と厳しく指摘した。

 新疆ウイグル自治区の治安当局者は、現地入りした産経新聞記者に対し、中国語や法律などの教育を行う施設に、多数のウイグル族やイスラム教徒を収容している事実を明確に認めている。

 警察官から問いただされ、正しい中国語で答えられなかったなどでも、ウイグル族であれば即刻、再教育施設送りになる恐れがあるとの証言もある。

 中国が問題の隠蔽(いんぺい)を続け、疑念が深まる一方なら、強制収容されているウイグル族らの一刻も早い救出と人権保護に向け、国際社会は結束して、対中制裁も辞さない強硬な姿勢で迫る必要がある。

 トルコ系民族である中国のウイグル族は約1千万人。多くはイスラム教徒で、中国政府は宗教弾圧を繰り返す一方、漢民族への強引な同化政策も採ってきた。

 亡命ウイグル人でつくる「世界ウイグル会議」議長で民族活動家のラビア・カーディル氏は昨年、日本で弾圧の現状を訴え、地方議会が憤りを表明した意見書を採択するなどしている。

 日本政府の動きは鈍くはないか。今月訪中する安倍晋三首相は、習近平国家主席との首脳会談で問題を取り上げ、厳しく非難すべきだ。

 日本も米国や国連委などと連携し、100万人以上もの強制収容という甚だしい人権侵害を徹底的に追及せねばならない。

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