【主張】「制裁解除検討」 文政権は北代弁者なのか

 韓国の康京和外相が国会答弁で、北朝鮮との経済取引を禁じた韓国の独自制裁について、解除を「検討中」と述べた。

 対北制裁の堅持は、日米韓が何度も申し合わせた共通認識であるはずだ。各国に厳格履行を働き掛けてもいる。百八十度異なる言葉を、韓国外相が口にすることに驚きを禁じ得ない。

 康氏は今月初め、米紙で、米政府が、核戦力や核施設のリスト開示要求を当面控え、寧辺核施設の解体を条件に朝鮮戦争の終戦宣言を約束することを提案した。

 金正恩政権は、非核化の意欲だけ示し、制裁解除と体制保証を手にしようと企(たくら)んでいる。その意をくみ、後押しするかのような発言だ。まるで代弁者ではないか。

 核と弾道ミサイルの挑発を繰り返していた北朝鮮が交渉の場に出てきたのは、日米韓が結束し、強い圧力と制裁で臨んだからだ。このことを忘れてはなるまい。

 米朝首脳の仲介役を自任する文在寅大統領は、南北首脳会談を重ね、金氏の後見役としての性格を強めている。

 近い将来の金氏のロシア訪問や、中国の習近平国家主席の訪朝の見通しを語り、北朝鮮がローマ法王を招請しているとし、自ら訪欧の際、仲介すると表明した。

 文政権の最大の問題は、非核化の進展とは無関係に、南北融和と経済協力のシナリオを描き、突き進もうとしていることだ。

 だが、経済協力は制裁緩和が必須で、それには、非核化の進展が不可欠であるため、金氏が態度を変えない現状で、袋小路に入ってしまっている。代理人と見まがうゆえんだろう。

 折しも、モスクワで中露朝の外務次官が会談し、制裁の見直しを求める声明を発表した。韓国の独自制裁が解かれても、重複する国連制裁のため、直接の効果は少ないとみられる。だとしても、中露朝に利用される恐れがある。軽率な発言は厳に慎むべきだ。

 文氏は9月の訪朝の際、金氏の誘いで、朝鮮民族の聖地で北朝鮮が「革命の聖地」と位置づける白頭山に登った。今度は金氏の年内のソウル訪問を目指している。

 南北融和にあまりに性急で、金氏の術中に陥り、引き返せなくなることが心配だ。重要なのは、北朝鮮に核・弾道ミサイルを放棄させることである。それなしの融和はあり得ないと知るべきだ。

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