【主張】「地面師」摘発 手口の周知で再発防止を

 地主になりすまして架空の土地取引を持ちかけて多額の代金をだまし取る「地面師」グループが警視庁に摘発された。

 地価の値上がりを背景に同様の詐欺被害は全国で広がりつつある。土地を売買する際には、所有者の本人確認を徹底するなど基本的な行動が被害を防ぐことになる。

 「オレオレ」などの特殊詐欺と同様である。早期に事件の全容を解明し、悪質な手口を広く周知して、新たな犯行の抑止につなげてほしい。

 東京都内の土地を購入しようとした大手住宅メーカーの積水ハウスが偽の地主らにだまされて約55億円の被害に遭った事件で、警視庁は土地所有者になりすました女ら数人を逮捕した。

 舞台となったのは品川区西五反田のJR駅近くの約2千平方メートルの土地だ。積水ハウスはこの土地を購入する契約を結んだが、土地の所有権移転登記をする際に相手側が提出していた書類が偽造されたものと判明した。

 土地取引をめぐる詐欺は地価が高騰したバブル経済期に横行していた。ここ数年は都市部を中心に地価が再び上昇に転じ、三大都市圏の商業地は6年連続で上昇している。積水ハウスも問題の土地を取得した後、マンションを建設する計画だったという。

 最近は土地所有者の高齢化で不動産の管理が行き届かず、相続された土地がそのまま放置される事例も目立つ。

 2020年東京五輪の開催を控えて都内では再開発事業も活発化しており、地面師グループがつけ込みやすい状況にある。

 地面師の手口には、割安な価格で土地取引を持ちかけて契約を急がせるなどの特徴がある。グループ内では役割が細分化され、犯人が「善意の第三者」を装うなど摘発が難しい部分もある。

 地主になりすました女は、精巧に偽造された旅券や印鑑証明を明示するなど、その手口も巧妙化している。

 一方で今回の事件では、積水ハウス側にもリスク管理の甘さがあった。同社がまとめた報告書によると、地主役の本人確認には不審な点があり、本来の土地所有者からも警告を受けながら、「何ら疑いを差し挟まないまま契約を急いだ」としている。

 警視庁には事件の徹底解明で犯行の芽を摘んでもらいたい。

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