【主張】代表質問と憲法 改正論議に背を向けるな

 憲法改正の重要性を訴える安倍晋三首相に対して、多くの野党が論議の土俵に上ることさえ拒んでいる。

 29日から始まった衆参両院の代表質問で浮き彫りになった、極めて残念な国会の姿である。

 各党とすべての国会議員は、憲法改正の発議に関する論議や議決を託されている立場を自覚すべきだ。

 安倍首相は、憲法に自衛隊を明記する改正案について「国民のため命を賭して任務を遂行する隊員の正当性の明文化、明確化は国防の根幹に関わる」と語った。

 さらに、衆参の憲法審査会へ各党が具体案を示すことで「幅広い合意が得られることを確信している」と述べ、議論への参加を呼びかけた。

 だが、改正論議に積極的な姿勢を示したのは、自民党と日本維新の会だけだった。

 驚きを禁じ得ないのは、立憲民主党と共産党が、首相が国会の場で憲法改正を論じることを封じようとしたことだ。

 首相が所信表明演説で憲法審査会への改正案提示に言及した点をとらえ、立民の吉川沙織氏は「三権分立の観点から問題」だと批判した。共産の志位和夫氏も「国会への重大な介入、干渉」で三権分立を蹂躙(じゅうりん)すると非難した。

 憲法にのっとって運用されている行政府の長が首相だ。移り変わる時代と憲法の間で生じる矛盾に最も直面する立場にある。その首相に改正を語らせないのでは、憲法のひずみを正せない。

 そもそも、三権分立に反するわけがない。現憲法に関する大規模な調査審議を初めて行った「憲法調査会」が、昭和30年代に内閣の下に設置されていた経緯もある。首相ら政府関係者が憲法改正を論ずることに問題はない。憲法をはき違えているのは立民や共産のほうである。そこまでして論議を妨げたいのか。

 国民民主党の玉木雄一郎代表は自衛権の範囲を明確にする「平和的改憲」を訴えた。自衛隊の活動を制約して厳しい安全保障環境への対応を損なうが、それでも必要というなら党として具体案を憲法審査会に提出したらどうか。

 玉木氏は、国民投票に新たなCM規制を導入することが「改憲論議の大前提」とも語った。新たなCM規制は国民の知る権利を侵害する恐れがある。改正論議に背を向ける理由にはなるまい。

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