【主張】文大統領の演説 対日関係には言及なしか

 韓国の文在寅大統領が施政方針演説で北朝鮮との融和の実績を強調し、非核化へ楽観的見通しを語る一方、対日関係には言及しなかった。

 韓国最高裁が元徴用工への賠償を日本企業に命じた。国際法を無視して1965年の国交正常化の際の約束を踏みにじるものだ。日韓関係の根幹が大きく揺らいだのである。

 日本政府は韓国に対し、激しく抗議している。ところが文氏は演説で何も語らない。対日関係などどうなってもいいと考えているのか。事態の収拾は大統領である文氏の責任であるはずだ。

 65年の日韓協定は、日本が経済支援を実施することで、請求権問題は「完全かつ最終的に解決した」と明記した。

 判決はこの事実に目をつぶったものだ。韓国政府は「司法府の判断を尊重する」というが、国家間の約束を反故(ほご)にするような誤った判断を是としてはならない。

 文氏は「未来志向の日韓関係を構築する」と繰り返してきた。だが、実際の言動は首をかしげさせられることばかりである。

 2015年の慰安婦問題をめぐる日韓合意は、破棄はしないが「これでは解決できない」と言い放ち、「慰安の日」を設定して問題を蒸し返した。

 韓国主催の観艦式で、自衛艦旗である旭日旗の掲揚自粛を求めるなど、日韓関係に次々と難題を投げかけてきた。

 文氏は演説で、朝鮮半島情勢に関し、「南北間の軍事衝突の危険を完全に除去した」と語ったが、異様な認識である。核・弾道ミサイルを放棄せず、38度線付近に大軍を配備したままの北朝鮮の脅威がなくなるものか。

 肝心の非核化をめぐる米朝交渉に進展はなく、国連安全保障理事会などの対北制裁は続いている。軍事的な備えの維持が圧力になるにもかかわらず、北朝鮮を喜ばせることばかりしている。

 文氏は10月中旬の訪欧の際に、安保理常任理事国の英仏首脳とそれぞれ会談し、非核化に応じた制裁緩和の検討を求めた。まるで北朝鮮の代弁者である。英仏両国が同意しなかったのは当然だ。

 国際社会が対北制裁の厳格履行を確認する中、南北融和で独走すれば、韓国は国際的な信用を失うことになる。

 隣国日本との約束を破ることも同様の結果を招くだけだ。

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