【主張】TPPの年内発効 成果を広げて米国に迫れ

 米国を除く11カ国による環太平洋戦略的経済連携協定(TPP11)が、12月30日に発効することになった。

 米国離脱で崩壊の危機に瀕(ひん)した枠組みを11カ国で立て直し、発効にこぎつけた意義は大きい。

 高水準の関税撤廃だけでなく、域内共通の先進的な通商ルールを定めた巨大経済圏の誕生を、日本経済の成長へと確実につなげたい。

 日本が重視する多国間の連携で成果を積み重ねることは、2国間交渉で自国優位の協定をのませようとする米政権の保護主義的な動きに対抗するのに欠かせない。

 TPP11には、経済、軍事面で覇権志向が強い中国の国家資本主義の影響が域内で増すのを牽制(けんせい)するという本来の戦略性もある。

 年内の発効を機に、11カ国の結束をさらに強め、自由貿易を推進する国際的な潮流を確固たるものにすることが大事である。

 国内手続きを終えていた日本などに続き、6カ国目となるオーストラリアの手続きが完了し、発効に必要な要件が満たされた。

 今月中にも手続きを終えるベトナムなど残る5カ国にも作業の加速を促し、11カ国すべてに協定が適用されるよう急ぐべきだ。

 来年1月には、新規加盟を希望する国・地域の手続きなどを議論する閣僚級のTPP委員会も日本で開催される見通しである。

 タイやインドネシア、韓国、台湾、コロンビアのほか、欧州連合(EU)を離脱する英国もTPP合流に関心を示している。

 合意内容を国際標準として広げていくためにも参加国の拡大は有効である。11カ国の交渉を主導した日本は、拡大交渉でも指導力を発揮してもらいたい。

 来年1月以降には日米2国間の本格的な関税交渉も始まる。その前にTPP11の年内発効が決まったことは、対米交渉の足場を固める上でも大きな意味がある。

 先の日米共同声明では、TPPの合意水準以上の関税引き下げは認めないという日本の立場を、米国が尊重すると明記された。それでも、パーデュー米農務長官がTPPを超える市場開放を求めるなど、対日圧力は強まっている。

 だが、ここで米国だけを優位にすれば日本に対する各国の信頼は失墜する。TPP11の成果を台無しにする要求は一切認めない。その姿勢を貫くことこそが、日本の果たすべき重大な責務である。

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