【主張】私学助成「保留」 問題組織に公金使えない

 日本大と東京医科大への今年度私学助成金の支給が保留とされ、減額などが検討されている。

 日大はアメリカンフットボール部の危険なタックル問題、東京医科大は入試不正が明らかになりともに経営トップをはじめとする学内統治(ガバナンス)能力が疑われている。

 問題ある組織態勢が温存されるようでは、税金で公費助成することに国民の理解は得られない。

 私学助成金は、学生数や教職員数など大学の規模に応じて配分される。昨年度、日大には約91億円、東京医科大に約23億円が支給された。

 例年12月に1次交付、年度末の3月に最終交付されるが、所管する日本私立学校振興・共済事業団が有識者による審議会で検討し、保留が決まった。来年1月に審議し、減額の有無や減額幅などを決める。厳正な判断を求めたい。

 経営にかかわる刑事事件で役員や教職員が逮捕・起訴された場合のほか、大学の管理運営上、適正を欠くとき、助成金を減額・不交付にする規定が置かれている。

 両大学とも「保留」となった事態を重く受け止めるべきだが、これまで組織運営の見直しを含め、実効性ある策が示されたとはとてもいえない。

 両校の不祥事では学内で不正のチェックが利かない、理事長らトップが機能しないなど、統治能力欠如が浮き彫りになった。他の大学も教訓とすべきことだろう。

 東京医科大の汚職事件では前理事長と前学長が在宅起訴された。内部調査で女子や多浪生を不利に扱うほか、卒業生の子弟を優遇する入試不正を前理事長らが主導したことが判明している。

 日大では常務理事だったアメフット部の前監督が反則を指示していた。信頼回復に当たるべき理事長は責任回避の姿勢などが批判を浴び再生を遠のかせた。その座にいるなら、助成金カットに直面する重大時に責任の所在と再発防止策などを明確に語るべきだ。

 私学助成や税の優遇などがある私大は一般企業に比べ経営が甘くなりがちだが、それでは通らない。急激な少子化で大学の環境は厳しく、高い経営判断のもとで教育研究の質向上が欠かせない。

 大学授業料無償化の施策が進められる中でさらなる改革が迫られよう。お飾りの経営陣では、生き残れないと認識すべきだ。

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