【主張】辺野古工事再開 普天間返還へ着実に進め

 防衛省が、米軍普天間飛行場の辺野古移設工事を再開した。石井啓一国土交通相が、沖縄県による辺野古埋め立て承認撤回の効力を一時停止したことを受けての対応である。年内にも埋め立て土砂を投入する運びだ。

 日米同盟の抑止力を保ちながら、住宅密集地にある普天間飛行場の危険性をできるだけ早く取り除くには、辺野古移設を進めるしかない。工事の再開を評価したい。

 移設に反対する玉城(たまき)デニー知事は「極めて残念だ」と強く反発し、政府に対話による解決を要求した。

 菅義偉官房長官は、衆院予算委員会で玉城氏との面会について「日程が合えば、虚心坦懐(たんかい)に話を聞きたい」と語った。

 国と県が対話を通じ、対立を和らげていけるなら望ましい。

 だが、玉城氏が対話を契機に移設工事が中止されるべきだと考えているとしたら問題である。

 知事選によって辺野古移設を拒む民意が確認できたのだから、国は従うべきだという考え方は極めて危うい。知事選に基地配備の是非を決める役割を期待することは間違っている。国と地方自治体の役割分担を無視し、安全保障や同盟国との良好な外交関係を傷つけるだけだ。

 移設工事が遅れるほど、住宅密集地にある普天間飛行場の危険性が残ってしまう。日米同盟の絆への信頼性も損なわれ、県民を含む国民を守ることと逆行する。

 自衛隊4万7千人と米軍9500人が現在、日本周辺の海空域などで、大規模な共同統合演習「キーン・ソード(鋭い剣)」を行っている。陸上自衛隊から初めて参加した水陸機動団は、沖縄の島である尖閣諸島を守る部隊である。普天間から辺野古などへ移る予定の米海兵隊とは、ますます緊密な協力関係が求められる。

 玉城氏は、工事が中止されない場合、国交相の決定に不服があるとして、国の第三者機関「国地方係争処理委員会」に審査を申し出る方針だ。県の言い分が認められなければ提訴を検討している。

 県の主張が認められなかった、翁長雄志(たけし)前知事当時のような不毛な裁判闘争を繰り返すのか。玉城氏は日本の守りの最前線である沖縄の知事として、辺野古移設容認に転じてほしい。政府・与党は、辺野古移設の意義を粘り強く、県と県民に説く必要がある。

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