【主張】徴用工問題提訴へ 韓国の不当性強く訴えよ

 不当判決を放置し、日本企業に不利益を負わせる事態を許してはならない。政府はこの問題に対する日本の立場を広く国際社会に知らしめるべきだ。国際司法裁判所(ICJ)への提訴は、その有効な手段である。

 韓国の元徴用工をめぐる訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じる確定判決を出した問題で、菅義偉官房長官は「国際裁判も含め、あらゆる選択肢を視野に入れて毅然(きぜん)とした対応を講じる」と述べた。

 ICJで裁判を開くには、原則として紛争当事国の同意が必要だが、単独で提訴して同意が得られない場合は、当事国に不同意の理由を説明する義務が生じる。

 日本の単独提訴に韓国は応じまいが、不同意の理由をめぐって日本側の正当性や韓国側判断の異常性を、強く訴えることができる。「反日無罪」といった情緒論は国際法廷の場では通用しない。

 徴用工問題は1965年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的に解決」としており、日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判断は国際法に照らして明らかに不当なものだ。仮に個人の請求権が生じたとしても、賠償対象となるのは韓国政府である。

 このことは盧武鉉政権が2005年に発表した政府見解でも認めており、当時、文在寅大統領は司法業務担当の民情首席秘書官を務めていた。協定の趣旨について深く理解しているはずの文氏が判決後、この問題について沈黙を守っているのは不可解である。

 韓国政府は「司法の判断を尊重する」と述べているが、大法院長官の任命権は大統領にある。今回の判決を下した長官は昨年9月、文氏によって抜擢(ばってき)された。「司法の独立」は言い訳とならない。

 日本政府は1954年、62年、2012年の3度にわたり、竹島の不法占拠をめぐってICJへの共同提訴を提案した経緯がある。いずれも同意を得られず、単独提訴も見送ってきた。

 今回は単独提訴に踏み切るべきである。提訴内容は、ICJのプレスリリースによって、国際社会に周知される。韓国側の不同意の理由についても同様である。

 日本政府がまずなすべきは、経済界や賠償対象企業と「賠償はしない」という大方針を再確認することだ。その上で外交交渉にあたり、同時進行でICJ提訴を韓国側に突きつけることである。

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