【甘口辛口】藤井七段、まさかの「師弟共倒れ」 32年ぶりの師弟同時昇級は持ち越しに

 ■2月7日 「師弟同時昇級」「どちらかが勝ち」「師弟共倒れ」の“三択”は、まさかの結果になった。将棋名人戦の順位戦C級1組10回戦(5日)で32年ぶりという順位戦師弟同時昇級を目指した杉本昌隆七段(50)、藤井聡太七段(16)師弟がそろって敗れた。深夜に投了した藤井は額が盤につきそうなほどガクッと首を折ったという。

 「緊張ぎみだった師匠に比べ藤井七段は手がよく伸びていた。周囲はみんな勝つと思っていたが、勇み足があった」とある棋士。順位戦での連勝は18で止まり、上位2人が昇級するC1は師弟に加え藤井に勝った近藤誠也五段、杉本に勝った船江恒平六段の4人が8勝1敗で並ぶ混戦になった。

 3月5日の最終戦は4人の直接対局はなく、藤井が勝って9勝1敗としても残り3人のうち2人以上が勝って並ぶと、相撲の番付のような持ち順位が4番手(31位)のため上がれない仕組みだ。他力で運が左右する。一方、6位の近藤に次いで順位2番手(7位)の杉本は勝てば文句なしに昇級となる。

 16年にC1に降級し、棋士としても晩年を迎えた杉本としては、B2に戻ってもう一花といったところだが…。前出の棋士は「ここまで藤井七段に背中を押される形で頑張り、いい師弟関係も築いてきた。最後に自分が勝つと、弟子をけ落とす可能性が大きい。師匠として立場は非常に微妙だ」と話す。

 名人戦の挑戦者と降級2人が決まるA級最終局(3月1日)は、数々のドラマを生む「将棋界の一番長い日」として毎年注目が集まる。単純明快な「師弟同時昇進」が消えたことで、複雑な結末を迎える来月5日のC1最終局は「将棋界の二番目に長い日」といってもよさそうだ。 (今村忠)

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